2021/11/08 旧車

乗り手を選んだポルシェ911の記憶[driver 1989年2-5号より]

driver1989年2-5号より


■911、疑惑の真相は?



911に魅せられた人の多くは、機械としての完成度の高さにほれたと語っている。それだけに、機能美は感じられたとしても、たとえばフェラーリのように、置いてあるだけ、あるいはさりげなく走る姿がうっとりするほど美しかったりはしない。



機械は本来、それらしく使いこなして、初めて真価を発揮する。911は、限りなく実用車に近い面も備えてはいるが、基本はスポーツドライビングを極めるための機械だ。つまり、乗るからには走りに徹する瞬間を持たなければ価値の大半を失うといっても過言ではない。

ところが、911に対する逸話はつきない。いわく「クラッチが弱く、ヘタッピーが乗ると1万kmでダメになる」、いわく「RRだから強烈なオーバーステアになり、ヘタにコーナーを攻めるとクラッシュする」などなど、いかにも気難しそうである。優れた実用性を備えるという評判の一方で、こうした疑惑が定説化したのはなぜだろうか。

「911オーナー」=「スゴ腕のマニア」という乗り手の誇りを演出するための題材のような気がしてならないが、“当たらずとも遠からず”でもある。確かに、スタートや交差点の左折時などの低速走行でハーフクラッチを多用すれば、ディスクは1万kmともたないかもしれない。RRが、突然のオーバーステア傾向を示す可能性があることも事実だ。

ドライバーWeb編集部