2023/09/04 コラム

アルファード/ヴェルファイアなど話にならない!? 世界の2列「メルセデス・マイバッハ」と「レンジローバー」に乗ってみたら

●左:ランドローバー レンジローバー(3505万1342円)、右:メルセデス・マイバッハSクラス(4073万1000円)※いずれもオプションを含む価格



■重さをまったく感じさせない

マイバッハが味わわせる極上の乗り心地のヒミツは、自分でステアリングを握るとさらによくわかる。エンジンは6L V12でもターボ付き。車重が2.4トンあるとはいえ、900Nmという超絶トルクをわずか2000回転から発揮する。

ところが、これが驚くほどジェントルにしつけられているのだ。ドライブモードに関係なく、アクセルをいきなり踏み込んでも暴力的なところは皆無で、トルクが穏やかに立ち上がる。エンジンの振動・ノイズも前席でさえほとんど感じられず、まるでBEVのような感覚だ。ガソリンエンジン史上最強の黒衣と言っていいかもしれない。


●【マイバッハ】612馬力/900Nmを発揮するV12OHCターボエンジン。これに9速ATの組み合わせ。粗暴な印象はまるでない

可変ギヤ比の電子制御ステアリングも、操舵初期のレスポンスはマイルド。ジワ~ッとフラットな姿勢を保つエアサスとの連携によって、旋回力の立ち上がりに急激なところが少しもない。ブレーキにしても制動力はもちろん強力だが、踏み始めの効きは穏やかで“カックンブレーキ”にならないようにセッティングされている。

走る・曲がる・止まるのすべてで、乗員が不快に感じるGの立ち上がりをとことん優しくしているのだ。それでいて、ビッグボディの左ハンドルでおっかなびっくりタイトなワインディングを走り始めても、そんなことはすぐに気にならなくなり、それなりのペースでドライビングを楽しめてしまうから大したもの。


●試乗車はオプションの21インチアルミホイール(265/35R21タイヤ)を装着。ちなみにノーティックブルー/ハイテックシルバーのボディカラーだけで230万3000円

一方、レンジローバーはさらに超重量級だ。が、4.4L V8ターボはガソリンNAなら7L以上に匹敵する巨大トルクを2000回転未満から発揮。8速ATと相まって、その重さをみじんも感じさせない。

シャシーはワインディングでも重心の高さを意識させず、安定感抜群の走りを披露する。コーナー立ち上がりでアクセルを早めに開けると、極太のオールシーズンタイヤでもESC(横滑り防止装置)が頻繁に作動するが、それがわかるのはメーターの表示だけだ。ハンドリングは明快なアンダー特性だが、これも巨体を感じさせない軽快さ。ドライブモードは「オート」が最適。


●試乗車は530馬力/750Nmを発揮するV8DOHCターボを積む2023年モデル。24年モデルはマイルドハイブリッド化され615馬力/750Nmに出力が向上。価格はロングホイールベースのSVで3267万円

ただし、マイバッハに比べると、アクセルやステアリングのレスポンスが高く、加速や旋回のGの立ち上がりにカドがある。運転のしかたによっては後席の快適性を少なからずスポイルするだろう。

取りまわしのよさもマイバッハとレンジローバーに共通の見逃せない長所。ボディはアルファード/ヴェルファイアより断然ワイドでホイールベースも長大だが、いずれも4輪操舵によってそのデメリットを克服している。レンジの最小回転半径はアルヴェルより小さい5.6m。マイバッハも感覚的には同等で、ロック・トゥ・ロックがわずか2回転のステアリングと相まって驚くほど小回りが利くのだ。


●両車、取りまわし性を高める後輪操舵が備わる。マイバッハの最小回転半径は非公表だが全長5470㎜、ホイールベース3395㎜のガタイを考えると驚くほど小回りが利く。全長5265㎜のレンジローバーの同値も5.6mと、これまた驚くほど小さな値なのだ

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING