2023/09/04 コラム

アルファード/ヴェルファイアなど話にならない!? 世界の2列「メルセデス・マイバッハ」と「レンジローバー」に乗ってみたら

●左:ランドローバー レンジローバー(3505万1342円)、右:メルセデス・マイバッハSクラス(4073万1000円)※いずれもオプションを含む価格

「フツーの生活をしているかぎり、ステアリングを握る機会なんてまずないんだろうな…」。世界には、そんなハイブランドのモデルがある。そのひとつが「メルセデス・マイバッハ」、そして「レンジローバー」。新型アルファード/ヴェルファイアの取材を端緒に「それなら乗っちゃう?」と相成った、エグゼクティブ知的探求試乗。ちなみに総額は、2台で7578万2342円なり!



■船酔いする5つ星ホテル

リヤドアを開けると、メルセデス・マイバッハSクラス(S680 4マチック)とレンジローバー(SV P530 ロングホイールベース)は、日本車にはない欧州車独特の世界が待っている。贅沢至極のアルファード/ヴェルファイアに対して、欧州の2台はまさに豪華絢爛。エグゼクティブラウンジシートがファーストクラスやビジネスクラスなら、欧州勢は5つ星ホテルの超高級ソファだ。天然素材と光りモノを駆使したインテリアは、とにかく華やか、きらびやかなのである。

見た目だけでなく、座り心地もそう。贅を尽くした本革シートは表層がソフトで、全身がフワッと包み込まれる快適さ。アームレスト形状の違いもあるかもしれないが、シート幅もアルファード/ヴェルファイアよりさらにゆったり感じられる。


●メルセデス・マイバッハ S680 4マチック。試乗車は中央席の部分がクーリングボックス内蔵のコンソールになるエグゼクティブリヤシートが標準のファーストクラスパッケージを装着。ブルメスターのハイエンド4Dサラウンドサウンドシステムは、シート内蔵を含めて31個のスピーカーを搭載


●レンジローバー SV。前後を貫く大型コンソールで左右の独立感を演出するSV専用オプションのシグネチャースイート(4シーター仕様)。リヤエンターテインメントの13.1インチスクリーンもSV専用。メリディアンのシグネチャーサウンドシステムは、世界初の車載Trifield 3Dテクノロジーを採用

走行中の振動については、減衰力可変のエアサスを備えるマイバッハとレンジローバーはさすがにレベルが高い。路面からの入力をソフトに包み込む突き上げ感の少なさと、ボディのドッシリしたフラット感を高次元に両立する乗り心地は、減衰力可変とはいえメカ式サスのアルファード/ヴェルファイアにはまだ届かない領域だ。静粛性もパワーユニットやタイヤのノイズの小ささはアルファード/ヴェルファイアを完全に凌駕している。


●【マイバッハ】格納式テーブルに専用シャンパングラスも備わる。「エナジャイジングコンフォート」はアルファード/ヴェルファイアのスマートコンフォートに相当する装備で、さらに音楽とパフュームアトマイザーの香りまで制御する


●【レンジローバー】コンソールには電動で出現する芸術的なテーブルを内蔵。クリスタルグラスはお約束のダーティントン製。後方のクーラーボックスの開閉も電動だ。ワイヤレスヘッドフォンで左右それぞれ別のコンテンツを楽しめる

特にすごいのはマイバッハ。エンジンはあらゆる領域でノイズらしいノイズを感じさせず、乗り心地は路面段差の乗り越えも小さな石ころを踏んだくらいなもの。ロードノイズも音量が少ないだけでなく、耳触りな高音質の部分が路面を問わず抑えられている。エンジンとタイヤの存在を完璧なまでに消しているのだ。


●【マイバッハ】4つのドライブモードを選べる。Cにダイヤマークのマイバッハモードは、もっともソフトな乗り心地。そのほかコンフォート(C)、スポーツ(S)、インディビジュアル(I)を設定

ただ、ドライブモードを乗り心地がもっともソフトな「マイバッハ」、その次の「C」にすると、巨大なボディがユ~ックリ揺れる船のような感覚がある。筆者は船酔いするのだ。そこでショーファー(もちろん編集担当)に「S」にしてもらうと、路面からはコツコツくるようになるがボディの微妙な揺れは収まり、筆者にはこちらのほうが快適だった。


●【レンジローバー】試乗車の装着タイヤは285/40R23サイズのピレリ スコーピオン。M+Sのオールシーズンタイプ

レンジローバーも同様の“船感”はあるものの、23インチ(!)タイヤの適度な硬さがメリハリ感につながっているのか、「エコ」モードでも筆者にはそれほど気にならなかった。車両の挙動が乗り心地に与える影響は、マイバッハより大きい。加速Gがダイレクトに感じられ、カーブではシートのなかで体が横方向に若干滑るような傾向がある。ロードノイズも音質はいくぶん高め。繰り返すが、あくまでマイバッハと比べてである。


●【レンジローバー】SV専用の「テールゲートイベントスイート」は付属のシートを取り付けることでベンチとして使える機能。テールゲートの内側には高音質のスピーカーが備わる

ドライバーWeb編集部

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