2021/03/02 モータースポーツ

【WRC 2021 第2戦】2世ドライバー大躍進! トヨタのロバンペラが史上最年少ポイントリーダーに!【アークティック・ラリー・フィンランド Day2,3】

●オィット・タナック(ヒョンデ i20クーペ WRC)



ヤリスの2人が渾身のアタック!


デイ3のラリー最終日は、2ステージのみなので通常よりゆっくり目のスタート。10時過ぎにステージが始まった。天候は昨日に続き晴れ。気温もー4℃と変わらない。出走順も前日と同じ、リバースオーダーだ。

この日の1本目、SS9でのステージベストはTGRのエルフィン・エヴァンス。オジエがデイリタイアした状況なので、今後のマニュファクチャラーズ選手権争いも考えるとエヴァンスは1ポイントでも多く稼ぎたいところ。懸命の走りで、総合4位のクレイグ・ブリーンまで3.6秒差まで追い上げてきた。総合2位のロバンペラは、このステージセカンドベスト。しかしヌービルもわずか0.1秒差のサードベストで対抗し、勝負の行方は最終パワーステージの結果に委ねられる。


●手堅い走りで5位に着けるエヴァンス。好調なブリーンを捉えることができるだろうか

パワーステージは上位5番手までポイントが与えられるシステムだが、今季からドライバーズポイントに加えマニュファクチャラーズポイントも獲得できるようになった。1ポイントでも多く獲得することが、後々の選手権の行方に大きく左右することになる。SS9のリピートとなる最終SS10は、後半に行けば行くほどタイヤに厳しくなる、ドライバー泣かせのコンディションとなった。

ここで気迫のこもった走りを見せたのが、3番手にスタートした前日デイリタイアのオジエ。それまでのトップタイムを10秒以上も更新するタイムを叩き出し、ポイント獲得を狙う。その後ソルベルグが途中のスプリットまではオジエのタイムを上まわる速さで走っていたが、最終コーナー2つ手前の右コーナーで痛恨のスピン。コース復帰までの時間をロスし、総合順位で勝田に抜かれてしまう。


●デイリタイアしたオジエにとって、パワーステージは唯一ポイントが得られる機会。渾身のアタックを敢行する

そして注目の2位争いは、渾身のベストタイムを叩き出したロバンペラに軍配。ヌービルとの差はたったの0.4秒という、僅差の戦いだった。首位のタナックは4番手タイムで2ポイントを獲得。フルポイントとはならなかったものの、ラリーを終始リードし今季初勝利をあげた。


●タナックが優勝。ヌービルの猛追を凌いだロバンペラが2位を獲得した


●優勝者には、トナカイの盾が贈られた




拮抗するマシン性能。若手の台頭にも注目!


ヒョンデは今年から導入されたピレリタイヤとのマッチングに苦しみ、初戦のモンテカルロはTGRに対し惨敗の結果となってしまった。それからタイヤとのマッチングを重点的にセットアップを追求していったようで、今回のラリーはTGR勢を圧倒するほどの結果を収められた。今季のこの2チームはマシン性能も拮抗しているようで、誰が優勝するか予想がつかない展開になりそうだ。


●モンテカルロからわずか1ヶ月で戦えるマシンに仕上げてきたヒョンデ。今季もTGRとの接戦が予想される

そして、このラリーでドライバーの世代交代も進んでいることがはっきりした。2位のロバンペラは現在ポイントリーダーとなったが、20歳での選手権リーダーは史上最年少記録だ。また、ヒョンデからWRカーデビューし、いきなりトップクラスの速さを見せた19歳のソルベルグも今後が楽しみな存在。もちろん、期待の“若武者”勝田貴元も成長過程のドライバーであり、今後はますます速くなるだろう。8回目のチャンピオンを狙い、今季での引退も公言している“絶対王者”オジエに引導を渡すのは、次世代の若いドライバーなのかもしれない。


●最年少チャンピオンも夢ではないか? ロバンペラは20歳とは思えないほど落ち着いた走りと速さを見せる

●このラリー最大のサプライズは、間違いなくオリバーの速さだろう。今後が楽しみなドライバーだ

WRCの次戦は、約2ヶ月のインターバルを挟んで4月22日のクロアチア。今回同様、初開催のWRCイベントであり、今季初のオールターマックラリーだ。



<写真=Redbull 文=ドライバーWeb編集部・青山>


ドライバーWeb編集部

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