2023/06/19 コラム

まさかカルディナとGRカローラが繋がるとは…打倒レガシィの夢叶わぬも “モリゾウエディション” に受け継がれた「赤い倒立」の系譜

トヨタ カルディナGT-FOUR  “Nエディション”(2002年)


■トヨタ カルディナGT-FOUR  “Nエディション”(2002年)

●基本的に初代のイメージを踏襲した先代(2代目)より一変した3代目。追撃の準備は整った

カルディナは、トヨタがレガシィ ツーリングワゴンを追撃すべく送り出したステーションワゴンだ。初代はコロナのコンポーネンツをベースに開発され、1992年デビュー。2代目(97年)はセリカGT-FOURと同じ2L ターボ(260馬力・33.0㎏m)+フルタイム4WD搭載のGT-Tをラインアップした。


●こちらは2代目「GT-T」。260馬力を誇る3S-GTE型直4ターボを搭載するも、シャシー性能とのアンバランスを指摘する声も少なくなかった

しかし、ライバルの人気には遠く及ばず。そこで大胆な「スポーツスペシャルティワゴン」に変貌を遂げたのが、02年の3代目だ。開発テーマは「ザ・ツーリングマシン」。

商用バンとの共用をやめて荷室を割り切ったボディは、1740㎜の全幅を持つ3ナンバーワイドの砲弾形フォルム。サスペンションは新開発(リヤはダブルウイッシュボーン)、土台となるボディの剛性も高められ、GT-T改めGT-FOURは99年に姿を消したセリカGT-FOURの再来とも言われた。


●「エキサイティングデザイン」をうたう砲弾形シルエットが特徴の3代目。プラットフォームのベースはプレミオ/アリオン

そして、その頂点に君臨したのが、シャシーをスペシャルチューンした “Nエディション” だ。サスペンションはフロントに倒立式、リヤにはモノチューブ式のショックアブソーバーを採用し、ハードに専用チューン。フロントには乗り心地を両立すべくコイルバネ付きパフォーマンスダンパーも装着した。また、リヤデフにはトルセンLSDを標準装備。足元も成形精度が高く軽量・高剛性な新工法タイヤを履くこだわりだった。


●Nエディションのフロント(左)には倒立式ショックアブソーバーとコイルばね付きパフォーマンスロッド、リヤ(右)も専用のモノチューブ式ショックを採用

Nエディションの「N」は、シャシーを鍛え上げたニュルブルクリンクサーキットの頭文字、というのがトヨタの公式見解。だが、本当はシャシー開発をけん引した成瀬 弘(なるせ・ひろむ)マスターテストドライバーのイニシャル、というまことしやかな話が伝わっている。

ドライバーWeb編集部

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