2021/08/24 コラム

加害者はウソをつき放題!? 交通事故における「死人に口なし」を裏付ける恐ろしいデータを発見

●検察統計年報を眺めてみると


■一般犯罪や交通違反と比較して「お目こぼし」が断然多い「交通事故」



さて、最後に交通事故である。検察統計には交通事故のいろんな罪名が並んでいる。だいぶ昔の罪名や、特殊な交通事故の罪名を、ぜんぶ並べているのだ。現在、裁判の法廷へ出てくるのは、ほぼすべて「過失運転致傷」か「過失運転致死」(致死傷を含む)だ。まず「過失運転致傷」から。既済の人数はこうなっている。

・公判請求       2876人
・略式命令請求  3万9188人
・不起訴    31万4666人
 (起訴猶予  30万5221人)
 (嫌疑不十分    8727人)
 (その他       718人)


●2019年の「最高検,高検及び地検管内別 自動車による過失致死傷等被疑事件の受理,既済及び未済の人員」の一部

一般犯罪や交通違反に比べて、不起訴、それも起訴猶予(お目こぼし)がぶっ飛んで多い。昭和時代の何年頃だっけ、交通事故の処理で検察庁はパンクしそうになった。そこで、ケガが2週間程度と軽く、保険により賠償ができ、被害感情が悪くないケースはがんがん不起訴にする方針を決めた。以降、約9割が起訴猶予で終わるようになったのである。警察としては、どうせ起訴猶予で終わる事件の捜査に手間をかけるのは馬鹿らしく、という話はまたの機会にしよう。

ドライバーWeb編集部

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