2021/08/24 コラム

加害者はウソをつき放題!? 交通事故における「死人に口なし」を裏付ける恐ろしいデータを発見

●検察統計年報を眺めてみると


■交通違反の公判請求は一般犯罪の10分の1、略式は3倍



交通違反と交通事故は、犯罪傾向がない人が犯しやすい犯罪といえる。しかも数がかなり多い。そういうこともあってか、一般犯罪とは別立てのデータになっている。交通違反のほうを見てみよう。2019年の「道路交通法違反」の既済人数はこうなっている。

・公判請求      6951人
・略式命令請求 11万9882人
・不起訴    10万6609人
 (起訴猶予   9万9596人)
 (嫌疑不十分    5023人)
 (その他      1990人)


●2019年の「検察庁別 道路交通法等違反被疑事件の受理,既済及び未済の人員」の一部

一般犯罪と比べると、公判請求はたった10分の1。逆に略式は3倍に近い。そして不起訴の約93%が起訴猶予、つまりお目こぼしだ。一般犯罪とは大きく異なる。嫌疑なしはごく少数なのだろう、被疑者死亡などといっしょに「その他」に含まれてしまっている。

道交法違反で公判請求された裁判を、私は1400件ほど傍聴してきた。ほぼすべて、以下の3つのどれかだ。1、超過速度がやたら高い速度違反(首都高速だと超過80キロ以上)。2、物損事故をともなったり同種罰金前科があったりする無免許運転。3、同様のことがあったりする飲酒運転。これが不動の3本柱といえる。

なお、念のため言っておく。検察統計に出てくるのは、警察が検察に送致した事件のみだ。検察送致をしない交通違反は3種類ある。

・反則告知:2019年は約550万件。いわゆる青切符を切ったケース。反則金を納付すれば検察庁の扱いにならない。納付率は100%に近い。
・放置違反金納付命令:同約92万件。黄色い駐禁ステッカーを貼ったケース。違反車両の持ち主へ放置違反金の納付命令がいく。その納付、不納付に検察庁は関係ない。
・点数告知:同約68万件。シートベルト違反など点数が1点つくだけの違反。そもそも検察庁は無関係。

道路交通法違反は、公判請求、略式命令請求、不起訴、全部あわせても2019年は約22万件だった。検察庁の扱いとなる交通違反はごく一部なのだ。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING