2021/08/23 コラム

東京と沖縄は20キロ未満を相手にしない? 都道府県別に見るスピード違反取り締まりの実態

●都道府県によって取り締まりの傾向が違う


■超過15キロ未満は岩手がダントツトップ



Webサイトにあるのは全国のデータだ。都道府県別の超過速度別データを、2019年分に続いて2020年分も、情報公開法により手数料を払って開示請求し、開示を受けた。


●超過速度別速度違反取締り状況(2020年)。 ※超過30以上50未満だけ、高速道路の件数が表の右側に抜き出されている。左側の超過50以上には高速道路ぶんが含まれる

まずは超過15キロ未満を見てみよう。15キロ未満の取り締まりは全国で199件。うち166件(約83%)が岩手だ。2019年は340件中239件(約70%)が岩手となっている。それまで全国でせいぜい40数件、極端に少なかった。ところが突然3桁になり、その多くを岩手が占めている。どうなってるの?

全国でせいぜい40数件だったのは「速度取り締まりは超過15キロ以上をやれ」と警察庁が全国の警察に指示していたからだろう。しかし、「原付一種(法定30キロ)を超過23キロ(測定値53キロ)で捕まえた、と思ったら原付2種だった。道路の制限速度は40キロ。原付二種なら超過13キロだ。どうする? ええい、めんどくさい、切符を切ってしまえ」ということがたまにあり、それが全国で1年間にせいぜい40数件の取り締まりになったのではないかと推察される。

だが、状況が変わった。警察庁は「通学路、生活道路での速度抑止の切り札」と称して可搬式オービス(※)の導入を進め始めた。通学路等はだいたい制限30キロだ。「超過15キロ未満は見逃す。速度45キロ以上のクルマだけ取り締まる」では地元住民のブーイングを浴びる。 ※正しくは「可搬式」だがネットでは「移動式」と呼ばれる。ネットに迎合してかメディアも(ときに警察まで!)「移動式」と呼ぶことがある。

そこで、超過15キロ未満の取り締まりを警察庁は解禁したのだろう。そして岩手県警の本部長または交通部長あたりが警察庁の方針に敏感に反応する人だったか、または「そもそも超過15キロ未満は一律に見逃すという過去の方針自体が間違いなのだ」と考える人だったか、どっちかじゃないかな。

ちなみに別のデータによれば、2019年度の岩手の可搬式オービスは1台、2019年のその取り締まり件数は7件。2020年度は2台で、2020年の取り締まりは38件。つまり、岩手の超過15キロ未満の取り締まりは、そのほとんどを従来のネズミ捕りや追尾式で行ったわけだ。

参考:「なぜ岩手だけが多い?超過速度15キロ未満の取り締まり、340件中、岩手が239件の不思議」(2020年7月の記事) https://driver-web.jp/articles/detail/37929

ドライバーWeb編集部

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