2020/07/31 コラム

なぜ岩手だけが多い?超過速度15キロ未満の取り締まり、340件中、岩手が239件の不思議

速度超過20キロ前後が最も多い
警察庁のWebサイトのちょと深いところに、違反別の取り締まり件数がある。速度違反は超過速度別になっている。ご覧のとおり、超過20キロ前後の取り締まりが最も多い。「制限速度プラス20キロぐらいがちょうどいいんだ」とか思っている運転者がけっこうおいでなんじゃないか。そこがいちばん多く捕まっているのですぞ。



●警察庁作成の「交通関係法令違反の検挙状況」(一部抜粋)。酒気帯びについては呼気検査の結果が0.25ミリグラム以上か未満か、速度違反については超過速度別の取り締まり件数が載っている


超過15キロ未満は、2018年はたった43件。2017年以前も50件に届かなかった。なぜ極端に少ないのか。あるマニア氏が言うのだった。原付一種(排気量50cc)と原付二種(125cc以下)を間違えたんじゃないかと。原付一種の最高速度は、標識による制限速度には関係なく30キロだ。原付二種は自動二輪のカテゴリーに入り、標識による制限速度に従うことになる。マニア氏の推理はこうだ。

「原付一種と思って53キロと測定し、23キロ超過で取り締まろうとした。でも停止させてよく見たら原付二種だった。標識の制限速度は40キロ。13キロ超過だ。15キロ未満は取り締まらない予定だが、ええい、めんどくさいと違反切符を切ってしまった。そういうことじゃないですかね」

なるほど! すべてがそういうケースとまでは言えないが、鋭い推理だと思う。

超過15キロ未満が増えたのは新型オービスが理由?


2019年、超過15キロ未満がどかんと増えた。なんと340件。他の速度域と比べればまだ極端に少ないが、「ええい、めんどくさい」みたいなケースが突然8倍にも増えたとは考えられない。じゃあ何なのか。「新たな速度違反自動取締装置」(※)の登場が影響しているのではないか。 ※ネットでは「移動オービス」「移動式オービス」と呼ばれる。私は新型オービスと呼んでいる。

新型オービス(メインは可搬式)の大義名分は「通学路、生活道路での速度を抑止して交通安全を守ること」。通学路等の多くは「ゾーン30」とされ、制限30キロだ。従来のオービスは赤切符の違反(一般道路では超過30キロ以上)のみを対象とするが、それだと通学路等を速度60キロ以上でかっ飛ばす違反車だけを狙うことになる。子どもたちの親御さんや地域住民から大ブーイングが起こる。速度43キロ=超過13キロ程度も取り締まらねば。警察庁(全国警察の総元締め)がそっちへ舵を切り始めたことが大きく影響し、2019年の超過15キロ未満は前年の約8倍になった、そう考えるのが合理的かと思う。

そして岩手はゼロ→239件へと増加した


今回、情報公開法に基づく開示請求により、都道府県別、超過速度別の取り締まり件数のデータ(2013~1019年)をゲットした。私が見たかったのは、2019年の超過15キロ未満の340件の、都道府県別の内訳だ。


●警察庁作成の「超過速度別速度違反取締り状況」。「20~15㎞/h」は超過速度が15キロ以上20キロ未満の意味だ。ちなみに開示手数料は30枚まで300円。これ1枚でも300円だ

驚いたね! 340件中、なんと239件が岩手県なのだ。2位は千葉で45件、3位は静岡で39件。それ自体、従来からすればびっくりな多さだが、岩手の239件は飛び抜けすぎでしょ! しかも岩手は2013~2018年、15キロ未満はゼロだ。突然の239件、どど、どうしたんだっ?

岩手県警は可搬式オービスを通学路等に設置して、ふだんは取り締まらない15キロ未満をばんばん取り締まったのか。いや、前に2019年の可搬式の整備数と取り締まり件数をレポートしたでしょ(https://driver-box.yaesu-net.co.jp/new-article/35997/)。あれによれば岩手の可搬式の整備数は1台、その取り締まりは7件。つまり、従来の定置式(いわゆるネズミ捕り)や追尾式で頑張ったのだね。岩手だけがなぜ突出してそんなことを。非常に興味深い。

私はねぇ、こういうデータが大好きなのだ。あれこれ眺めつつ芋焼酎を何杯でも飲める(笑)。あとひとつだけ言うと、超過15キロ以上20キロ未満のデータだ。警視庁(東京)は3件、沖縄は0件。つまり、東京と沖縄の警察は超過20キロ未満を相手にしてないのだね。ほ~、と思う。ただ、「今井のバカ野郎がよけいなことをネットに書きやがった。20キロ未満もびしびし取り締まってやれ!」となるかもしれませんよ。

〈文=今井亮一〉

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