2021/07/20 ニュース

なぜレクサス高輪が不正車検を? トヨタが経緯を説明


”時間が目的”になり起こった2つの不正車検

トヨタの不正車検については、2021年3月にネッツトヨタ愛知でも起きている。相次いで起こる不正車検。トヨタ直営の販売会社であるトヨタモビリティ東京で行われた今回の不正車検について、トヨタの国内販売事業本部 佐藤泰彦本部長は、

「全国のお客様に不安とトヨタの信頼をなくすような案件についてお詫びしたい」
と述べ、
「ネッツトヨタ愛知の事案は、45分車検という短時間で作業しなければならないということが不正車検につながった。今回のレクサス高輪については、車検にかかる時間を通常2時間いただいている。共通するのは時間が“目的”になっているということ。こういったことが全国の販売店で不具合を起こしていないか、という観点で調べていきたいと思っております」
と続けた。



そもそもトヨタが販売店で行っている短時間車検が生まれたいきさつは、
「豊田章男社長が業務改善のメンバーだったとき、販売店のサービスの現場を見て、お客様からお預かりしたたくさんのクルマが並んでいることに対して、これをもっと楽に、そしてお客様のために早く届けられないかを改善メンバーと現場の人と一緒に原因を追及。さまざまな状態のクルマがあるなかで標準作業を作り上げていき、結果、ある条件が整った場合に例えば60分でできた、というのが始まり。
 
その後、国内営業部や国内サービスの改善部隊が全国の販売店に、その思いとオペレーションを伝えていった。だが、『誰のために、何のためにやっているのか』という思いを伝えきれていなかった。問題はその定着であったと思う。標準作業はマニュアルではなく、変化に応じて改善していくべきもの。これをメーカーとして販売店とともに定着させられず、結果として(短時間で作業するという)時間だけが残ってしまった。」
とメーカーとしての反省点を述べた。

また、
「メーカーや国内営業部が販売店を評価する指標が、新車であれば販売台数、サービスでは入庫台数であり、営業や経営の結果指標で販売店に対して会話をし、リードしてきた。現場がモラルを持って正しい仕事をしていたか、お客様のために仕事ができていたかを見ておらず、結果として、一番弱いサービスの現場に現れてきた。」
とメーカーが販売店を表彰する制度に対しても反省すべきところがあるとした。

トヨタでは再発防止に向け、まずは全国の販売店で不正車検が行われている事実はないかの調査をするとともに、自動車メーカーとして、販売店への表彰制度の内容について改めて精査していくという。

定期的な点検・整備により車両の不具合をなくし、ドライバーや交通社会全体の安心・安全を担保するひとつである車検制度。一部の不正により、多くの不安が生まれることをしっかりと認識し、再発防止に取り組んでほしい。

 
〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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