2021/05/16 ニュース

トヨタが目指すのは数字か政治か。2021年3月期決算説明で「電動化戦略」が明らかに

●新EVシリーズ「bZ」の第一弾



HEV、PHEVでも80%はエンジンが停止している



個人的にもっとも興味深く聞いたのが、HEV、PHEVへの言及だ。コネクティッド機能のデータで見ると、現状でも都市部では使用中の最大80%ほどの時間、エンジンは停止しているという。それを今後はナビのデータなどを元に、街中に居ると判断するとエンジン停止時間を伸ばすなどの制御を入れ込むことを検討しているというのだ。さらに、残り20%のエンジン稼働時間中のCO2排出量を減らすために、エンジン開発にもデジタル化をさらに取り入れていくという話だった。

あえて誤解を招きそうな言い方をするならば、トヨタが目指しているのは電動化ではない。電動化比率が大切なわけでもない。そうではなく、ここでは詳細には触れなかったが、生産段階から廃棄に至るまでのカーボンニュートラルこそが目指す道であり、そのために色々な選択肢を持って臨んでいるのが現状だ。

HEVやPHEVは、すでに結果を出している現実的な解答であり、今後もそれは磨き続ける。一方、BEVのニーズも高まってきているのは間違いないから、しっかりやっていく。決して軽視などはしていない。トヨタのこれまで示してきたスタンスが、明確な数字に裏付けされるかたちで、よりクリアに示された。数字でも政治でもなく、見ているのは世界中のユーザー。決して派手な発表があったわけではないが、そのことがじわり伝わる説明会だったのである。

〈文=島下泰久〉

ドライバーWeb編集部

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