2021/05/16 ニュース

トヨタが目指すのは数字か政治か。2021年3月期決算説明で「電動化戦略」が明らかに

●新EVシリーズ「bZ」の第一弾


「消極的」と思われる数字には意味と責任がある 

   

「○○年には100%BEV化」と謳うメーカーばかりの中で出されたこの数字だけでは一見、トヨタはBEVに対して消極的と見えるかもしれない。しかし、これはグローバルにビジネスを進めるトヨタならではの現実的な数字だ。

前提として、トヨタは先に記したようにすでに多くの電動車ラインナップ、多くの販売台数によりCO2低減という結果を出している。実際、この電動化戦略によって削減したCO2排出量は累計1億4千万トンに及ぶ。これは毎年、150万台分のCO2排出をゼロにしていることに相当するという。

そして改めて言うまでもなくBEVの普及にはまだ大きなハードルがある。すぐに思い浮かぶ充電インフラの不足、充電時間の長さもそうだし、そもそも電力自体をサステナブルなものにする必要もある。また、生産するにあたってのバッテリー供給も問題だ。

今回、これも数字で示されたのだが、さきほどの表の割合を実現するだけでも、バッテリー生産量は現在のトヨタ年間6GWhに対して180GWh分が必要だという。つまり30倍だ。それだけのバッテリーを産業や雇用の流出につながる海外からの輸入に頼らず、国内生産で賄っていくには相当な投資、準備が必要になるのは明白である。それを考えればトヨタが敢えて明らかにした数字は、十分現実味があり、責任の伴ったものだと言えるだろう。

ドライバーWeb編集部

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