2021/01/18 コラム

戦後間もなくタクシーでも大活躍!? ビートルことVWタイプ1を振り返る【1964年特集Vol.26】



タイプ1はタクシーでも大活躍!?



2ドアの、しかも64年当時でさえ後席が狭いという評価のタイプ1が、戦後間もなくタクシーとして活躍していたのだ。

「東京のタクシー百年史」(東京乗用旅客自動車協会ウェブサイト)を見ると、1953(昭和28年)には「戦後の復興で東京のタクシー会社が増え、小型国産車に比べて性能の高いワーゲンやルノーが数多く導入された」。また、昭和30年代初頭にはワーゲンが全盛を誇ったとある。


●フォルクスワーゲン タイプ1

梁瀬(現ヤナセ)がVWの販売を始めたのは、まさにその53年。
「ワーゲンの輸入台数も、このところめっきり増えてきた。(中略)1953年ごろからの分を通算すると、本年上期内で5000台に達する。輸入車としては相当な数ではないか」

そして、その上昇率が輸入自由化後も続いたら、アメリカ市場でビッグ3さえ慌てふためかせたワーゲン攻勢が日本でも始まりかねないとして、
「“ビートルズ(甲虫)がやってくる”のは、レコードファンばかりの話題ではなくなる」
と、洒落た考察が披露されている。
1964年は、日本にとってオリンピック一色の年だったが、世界ではビートルズ(The Beatles)が旋風を巻き起こした年だった。

1962年にイギリスでデビューしたビートルズは、64年に海外進出。念願のアメリカを中心にワールドツアーを大成功させ、世界中のファンを熱狂の渦に巻き込んだ。そして、この年にリリースされた楽曲の一つ、および同名の主演映画が「A Hard Day’s Night」。その邦題が「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」だったのだ。さすがに今では原題に改められているようだが…。

カブトムシの愛称は当時の日本でもすでに知られていた。しかし、「ビートル(Beetle)」の文字はまだ誌面のどこにも登場していない。

ドライバーWeb編集部

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