●5月3~4日、富士スピードウェイにて開催された2023 AUTOBACS SUPER GT 第2戦「 FUJIMAKI GROUPE FUJI GT 450KM RACE」5月3~4日、富士スピードウェイにて2023 AUTOBACS SUPER GT 第2戦「 FUJIMAKI GROUPE FUJI GT 450KM RACE」が開催された。荒れに荒れた開幕の岡山戦とはうって変わり天候に恵まれた富士スピードウェイは予選、決勝ともにドライコンディション。GT500クラスはNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)、GT300クラスはNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ(J.P.デ・オリベイラ/名取鉄平)がレースを制した。なお、来場者は3日に31600人、4日に48600人と盛況でコロナ前の熱気が戻ってきたような2日間であった。
●ファンはもちろんレースクイーンや関係者からも笑顔がこぼれるスタート前5月3日の予選でトップタイムをマークしたのは、GT500がNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)。2番手にWedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/坂口晴南)、3番手にARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)が続いた。日産勢はリアライズコーポレーションADVAN Zの5番手が予選の最高位で開幕戦でワンツーフィニッシュを決めた赤い2台のZ、MOTUL AUTECH Z、Niterra MOTUL ZはQ1敗退となった。
5月4日は450km、100周で行われる決勝レース。GT500はポールポジションからスタートした100号車は前半トップをキープするも31周目、1回目の給油の際に6番グリッドからジリジリと順位を上げてきたNo.36 au TOM’S GR Supraに暫定トップを明け渡す。32周目には36号車も給油のためにピットインしたものの迅速な作業によりトップのままコースへ復帰。
以降36号車は着実にラップを刻み、安定した天候、事故やトラブルがなくFCYやセーフティカーの導入などのどんでん返し的なシーンがないクリーンな展開。終わってみれば2位の100号車に28秒519という大差をつけてトップフィニッシュ。開幕戦でトップ争いを繰り広げながらピットミスによりノーポイントでレースを終えた36号車が最高の形で雪辱を果たした。シリーズランキングでも前回優勝のMOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)、2位のNiterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)に次ぐ3位につけた。
●GT500は2位に28秒519という大差をつけてNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が優勝●GT500:1位 No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)、2位 No.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)、3位No.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)GT300は1周目に接触、スピンがあったものの以降順調にレースは進んだ。ポールポジションからスタートした56号車が快調にリードを築く一方、2回の給油を伴うピットストップが義務付けられた今回のレースでは、序盤でそのノルマを消化すべく早めのピット作業を行うチームもあった。予選5番手のNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)もその1台。2周目に早々と短い給油作業のみで1回目のピットインを済ませた2号車は、ペースを上げトップに立ち、2回目のピットイン後もポジションを維持する。
前半トップを走っていた56号車は61周までピットインを引っ張りフレッシュタイヤで2号車を追う。その時点で残り39周。逃げるNo.2のドライバーは平良響。追う56号車は名取鉄平。どちらも勝てばSUPER GT初勝利だったが軍配は名取に挙がる。その差0.579秒。平良響はレース後GT500マシンと絡んだ時に一気に追いつかれてしまったのが敗因と語った。
終わってみれば義務付けられた2回のピットインに対するチームの作戦の違いや速度域の違う2つのカテゴリーが混走するSUPER GTならではの難しさや面白さが凝縮されたレースであった。速度に勝るGT500マシンがGT300をパスする難しさはもちろんだが、GT300にとっても抜かれ方はレース運びの大切な要素で、今回はそれが明暗を分けたようだ。
●GT300はNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ(J.P.デ・オリベイラ/名取鉄平)が優勝●トップとの差は0.579秒!悔しい2位のNo.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)●GT300:1位 No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ(J.P.デ・オリベイラ/名取鉄平)、2位 No.2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響/加藤寛規)、3位 No.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)サーキットレースでは天候や事故、トラブルによるFCYやセーフティカーの導入が結果に大きな影響を及ぼすことも少なくない。魔物が住むとさえ言われるサーキットもあるくらいだ。もちろんそれもレースの面白さのひとつではある。しかしアクシデントもなくクリーンな展開の中、チーム、マシン、ドライバーそれぞれががっぷり四つで450kmもの長丁場を戦い続けたレースはやはり見応えがあった。富士での第2戦はモータースポーツの魅力が目一杯詰まっていた。
〈文と写真=高橋 学〉