2023/01/18 ニュース

酒に酔って道路に寝転んだら罪? 多発する「路上横たわり交通事故」の実態

神奈川県警察本部交通部交通総務課のツイッターより



■悲惨な「路上横たわり交通事故」

話を戻す。路上横臥事故の裁判も私は何件か傍聴してきた。例えば、午前3時19分頃に起こった事件について、目撃者(タクシー運転手)の調書を検察官がこう読み上げた。

検察官 「白っぽいズボンの人が、第1通行帯(歩道寄りの車線)の横断歩道付近に、ケガもなく寝ていた…タクシーを停め、ハザードランプ…通報…白いトラックが走ってきて、そのまま頭部を左前輪でひいて行った。ぐしゃっという、鈍い、何ともいえない大きな音が…」

この事件の被告人は前科があり、捕まりたくないと逃げてしまった。判決は懲役3年、執行猶予5年だった。

加害者が逃げても逃げなくても、どんな処罰を受けようと、失われた命は戻らない。飲み過ぎて路上に寝転ぶ人もいれば、自己コントロールが効かなくなって他人を殺傷する人もいる。酒はじつは怖ろしい薬物でもあるのだ。

貧富の差が進めば泥酔者は増えるかも。しかも日本は世界一の超高齢社会だという。お年寄りが歩行中に、または横断中に、道路に倒れることはあり得る。そういうことも想定しながら運転したい。

ヘッドライトのロービームは40m先までを照らす。40m先の路上に“何か”を発見してもブレーキが間に合わない、というスピードは絶対に出さないように。

文=今井亮一
肩書きは交通ジャーナリスト。1980年代から交通違反・取り締まりを取材研究し続け、著書多数。2000年以降、情報公開条例・法を利用し大量の警察文書を入手し続けてきた。2003年から交通事件以外の裁判傍聴にも熱中。交通違反マニア、開示請求マニア、裁判傍聴マニアを自称。

ドライバーWeb編集部

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