2021/06/04 モータースポーツ

いろいろ分かってきた…トヨタ水素エンジン、その速さの秘密【前編】

●24時間レースで合計1634kmを走りきった

ただ走っただけじゃない。バトルも演じた!



スーパー耐久シリーズ第3戦「NAPAC 富士SUPRE TEC 24時間レース」に出場したトヨタの水素エンジンを搭載したレーシングカーが見事、完走を果たした。豊田章男社長がチームオーナーのプライベートレーシングチームである「ROOKIE Racing(ルーキーレーシング)」に託された「ORC ROOKIE Corolla H2 concept」は、途中、水素とは関係ない箇所のトラブルに見舞われるも無事に24時間を走り切り、合計1634kmを走破したのである。



水素充填に多くの時間が割かれるなどの事情もあったから、順位としては特筆すべきものではない。しかしながら、以前お伝えしたように、まだ人間で言えばよちよち歩きの技術であるにも関わらず、こうしてレースに出場して、しっかり走り切ってみせたのだから、これはもう勝利にも値する結果だったと言っていい。しかも使った水素は福島水素エネルギー研究フィールドで製造された再生可能エネルギー由来の「グリーン水素」であり、CO2その他の排出量は限りなく少なく済まされたのである。本当に、本当に称賛すべきことだ。


●水素充填のシーン

こうして24時間を走り切ったことで、技術的にも非常に多くの、有益なデータが得られたことだろう。しかし、それだけじゃない。このレース、私は現地に取材に赴いて実際に走行するマシンをつぶさに観察していたのだが、大いに感心させられたのは、単に走っているだけだったり他車の邪魔になったりなんてことはまったくなく、それどころか随所で光るスピードを見せていたことだ。水素エンジンならではの小気味良いサウンドを響かせ、バトルまで演じていた姿には、モータースポーツの明るい未来を見るようだった。



そう、水素エンジンはしっかり戦える「速さ」を持っている。以前のイメージからすると、これは考えられないことだ。古い例になるが、2006年に登場したマツダRX-8ハイドロジェンREは、ガソリンでは210psの最高出力が水素では109psに留まっていたし、やはり同じ年に販売されたBMWハイドロジェン7も、V型12気筒6Lエンジンを搭載しながら、最高出力は260psに過ぎなかった。


●2003年に世界で初めて実用化に成功、06年に登場した水素ロータリーエンジン車「RX-8ハイドロジェンRE」


●2006年にデビューしたBMWハイドロジェン7。水素は液体で貯蔵

ドライバーWeb編集部