2021/06/03 コラム

割のいい仕事は激減。コロナ禍であらためて感じる依頼主との力関係…トラックドライバーが本音を語る

●減ったものもあれば、増えたものものある!?

新型コロナウイルス感染拡大の影響は、当然物流業界のトラックドライバーにも及んだが、具体的に運転手にどんな変化もたらしたのか? イチ運転手として感じたここ1年を振り返ってみたい。

1回目の緊急事態宣言以降で起こった事象



筆者はこの1年、4トン(中型車)のフリー便担当として乗務することが多かったが、フリー便とは、その日その日で運ぶ中身も違えば、運行するルートも違うという立場。もう一方のトラックドライバーは、定期便担当で、運ぶ内容行き先もほぼ決まっている。定期便は、(物量が減る場合はあるにせよ)フリー便よりは新型コロナの影響を受けにくいはずだが、いずれにせよ、以下の記述内容はトラック業界全体の傾向ではなく、とあるフリー便トラックドライバーのコロナ禍の実感であることをご承知いただきたい。

(1)平日に仕事の空きが出るようになった昨年春
昨年春、1回目の緊急事態宣言の後、半月ほどは業務内容に大きな変化はないなと思っていたが、5月の大型連休を挟んで以降、平日(月〜金)に仕事が入らない日が発生するようになった。1日入っても、翌日は空き(休み)、それが2日連続休みになることもあって、昨年5〜6月の収入は半分ないしそれ以下になった。また平日に空きが出る状況は、昨年の春ほど極端ではないにしろ、その後も時折経験している。

(2)大きく影響を受けた、移転(引越し)・イベント設営業務
筆者の周囲で大きく仕事依頼が減ったのは、まず第一に、大手引越し会社からの依頼だ。人の移動がもっとも危険だと意識されたころだったので、当然ながら会社関係の業務場所移転も、個人レベルの引越しも自主的に中止・延期する場合が多かったのだろう。だが、それから1年が経過した現在では移転、引越しともに依頼は戻ってきている。顧客側としては、いつまで待っても感染が収束せずラチが明かないという気持ちになったのだろう。

そしてもう一つが、市中の展覧会、野外イベントなどの中止だ。この1年でイベント機材の搬入、搬出の依頼作業がほぼなくなった。ただし、この影響を強く受けているのは運送業界だけではない。イベント用機材の保管、貸し出し、設営などを請け負う会社はもっと深刻で、中には実際に業務継続困難で倒産に追い込まれた会社も少なくない。現在もイベント関係は中止が数多い。

(3)輸入・輸出関係の運送業務も一時停滞
フリー便で時々担当していた、趣味商品(楽器など)の輸出などが止まったほか、海外からの輸入原料などを扱う会社の依頼業務が減少した。ただし、これらは1回目の緊急事態宣言下では顕著だったが、少しずつ戻ってきている。

(4)瞬間的に増えたドラッグストア配送
使い捨てマスク、アルコール消毒液などの在庫切れが懐かしく思い出されるが、それとほぼ同時期、風評が影響してトイレットペーパーの品切れも頻発した。そんなとき、臨時のチャーター便で大型薬局(ドラッグストア)へのトイレットペーパー配送業務が時折飛び込んできた。昨年5〜6月ごろは、お店の開店時間前に多くのお客さんが列を作ってトイレットペーパーの入荷待ちをしていた光景を思い出す。ご存知のようにマスクもトイレットペーパーも、今は店頭での品切れなどは起こっていない。

なお、昨年春の緊急事態宣言以降、物流業務が減らず、むしろ少し増加している印象なのが、大手スーパーや薬局などへの搬入だろう。テレワークを含み、自宅での生活時間が増えているため、スーパーでの生活用品の購入が増えているためだ。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING