リアルウッドが作り出す癒やしの空間「リトリートアニバーサリーII」
このハイエースキャンピングカーの制作元はダイレクトカーズ。ハイエースを中心にキャンピングカーを製作するメーカーで、国内の複数のキャンピングカーブランドで設立されたLACホールディングスグループの一員だ。LACホールディングスは成長著しいキャンピングカー市場で、将来の海外展開も見据えてグループ各社が経営資源を共有・相互協力しながら、供給体制とサービス網の強化を図っている。
2023年2月に幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピンカーショー 2023」では、グループの共通テーマ「On The Road Again Vantastic = クルマで旅を楽しもう!」に沿って、 ダイレクトカーズはハイラックスベースのSUVアドベンチャーキャンパー「BR」などのアクティブなモデルを展示。そのなかでも注目を集めたのが、アメリカンバンライフを内外装で体現したリトリートアニバーサリーIIだった。
●リトリートアニバーサリーIIの内装。目の前に全面リアルウッド張りのログハウス風空間が広がる
●バックドア側から。右側の冷蔵庫は車外からもアクセスしやすい場所だ
リトリートアニバーサリーIIの「リトリート」とは「隠れ家」という意味。内装の全面をリアルウッド張りにした温もりのあるインテリアから「自分だけの癒やしの隠れ家」をイメージしたネーミングだ。助手席側のスライドドアを開けると、床から壁面、天井に向かってヘリンボーン柄のウッドパネルで囲われ、天然木の香りと温もりに包まれる。ボディサイドに施したウッド調ラッピングが内装のイメージと調和する。
特徴的なのがオプションの角目フェイスチェンジキット。3代目ハイエース(H系)へのオマージュを込めた。H系のモデルライフは1982〜1989年。いわゆるRVブーム真っ只中で、ミニバンが存在しなかった時代のファミリーカーとして好評を博した。サイドのウッド調パネルラッピングも80年代ルックで、懐かしくも新鮮なイメージだ。
角目2灯ヘッドライトに合わせてウインカーレンズや横桟グリルなど周辺パーツも完全新規製作。コストはかかったがレトロ調の再現に妥協は許さなかった。
●フェイスの造形に合わせてボンネットフードをFRPで成形。ノーズが少し前に出たフォルムを形成し、モチーフになったH50系の雰囲気を再現
●足元はラギッドデザインのアルミホイールとTOYOオープンカントリーでRV風にアレンジ。少しリフトアップして走破性を高めるのもアリだ
思わず旅に出たくなるバンライフな空間演出術
リトリートアニバーサリーIIのデザインコンセプトは「日常を忘れるレトロモダン」。籠もり感の演出とプライバシー確保を、天井と壁面を左右後部の窓ごとすべてリアルウッドパネルで覆うことで実現した。天井には暖色系のLEDダウンライトを配し、日常の喧騒から離れた秘密基地らしさを高めている。
●本来なら窓がある部分をリアルウッドパネルで覆っている。ガラスが隠れることで、ハイエースバンの荷室からくつろぎの旅空間へイメージががらっと変わっている
快適アイテムをフル装備した車中泊空間
ダイレクトカーズはキャンピングカーの専門メーカーのため、見た目だけではなく、普段使いできる旅空間としても工夫がこらされている。ベッドメイクが簡単なうえに、ストレートな動線が取れる横向きシートを配したシンプルなレイアウトは前作「リトリートアニバーサリー」から共通している。前作からの変更点は冷蔵庫の位置。従来はスライドアウトキッチンに上開き式を内蔵していたが、アニバーサリーIIでは引き開き式に改められ、運転席側の最後部に移動している。オプションだったDC12Vの車載クーラー「クールスター」も標準装備に。200Ahのリチウムイオンバッテリーと効率のいい走行充電で快適バンライフを満喫できる。
●奥行き16cmの超薄型室内機と、振動や塩害に強い室外機で構成された車載専用クーラー。変換ロスのないDC12Vダイレクト接続
●200Ahのリチウムイオンサブバッテリーを標準装備。効率のいい走行充電システムを組み合わせてクーラーの長時間運転を実現
●横向きシート下の穴からは、FFヒーターというエンジンをストップしても使える車載用ヒーターの温風が吹き出す。室内を掘りごたつ風に使えるのだ(オプション設定)
●引き開き式の冷蔵庫を設置。室内からもバックドア側からも中身を取り出しやすい位置にある。上部をテーブルとして利用できるので使い勝手がいい
●助手席側のベンチシートは蓋を開けると収納に
●収納の最後部は通路側に引き出して使うことができる。車外からもアクセスが簡単な上に、ベンチを使用していても物が出し入れできる便利な構造だ
運転席側、フロントシートと後部ベンチの間のカウンターボックスにも快適な車中泊のために考えられたギミックが設けられている。使いやすい位置に設けられたシンクは、手前にインテリアのアクセントも兼ねてタオル掛けがついている。そしてこのカウンターボックス、なんと車外にスライドアウトするのだ。クルマの「ソトとナカ」の垣根をなくす提案で、天気がよければスライドアウトさせて、イスとテーブルをセットすればアウトドアキッチンとして使える楽しい空間に。重さのある給排水タンクが着脱しやすい場所に移動してきてくれるので、日常面でも恩恵が大きい。
●シンクの隣は深さのある収納となっている
●シンク手前にはタオル掛けも。バンライフというデザインに合わせてブラック塗装のものをチョイス
●スライドアウトしたシンク。横にコンロを置けば立派なキッチンに早変わり
ちゃんと車中泊するために 睡眠の質にもこだわったクッション
車中泊の睡眠の質を高めるキーはどこにあるか? キャンピングカーの専門メーカーとしてダイレクトカーズがこだわったのが、ベッドマットの質、断熱性、プライバシーの保護だ。
そもそも睡眠に至る前に、車中泊車はベッドを作らねばならないが、その作業の簡単さにもこだわった。横向きシートという車内レイアウトを取ったのもこのためだ。左右のシートの間に背もたれマットを置くだけで全面ベッドが完成する。ベッド展開のためにあちこちいじったり、展開中にほかのメンバーが車外で待避する必要もない、初心者にもやさしい作りだ。
また内装の意匠としてここまで何度も取り上げてきたリアルウッドパネルも断熱性向上に貢献している。ベッドマットには高反発のクッション性に優れたC-CORE3Dという素材と、ホールド感に優れた独自の中綿素材を合わせて使用。通気性もよく、快適な寝心地となっている。
●クッション断面。抜群のホールド感をもたらす独自の中綿素材と、高反発のクッション性に優れたC-CORE3Dを使用し、通気性抜群
●全面ベッドを後部座席から。冷蔵庫を使用したければ、手前のマットを1枚抜くだけでいい
80年代の香り漂う角目2灯フロントマスクに全面ウッド張りの温もりのあるインテリア。
「隠れ家」を意味するリトリートで見知らぬ場所に旅に出れば、心身ともに癒されるだろう。
[スペック]
ベース車:ハイエース ワゴンGL(ワイドボディ・ロング・ミドルルーフ)
乗車:5人 就寝:3人
登録ナンバー:8
価格:525万円~
<文=湯目由明 写真=秋元栄二郎>
■問い合わせ先
ダイレクトカーズ
https://www.cars-drt.com/
TEL:
059-253-8888(三重店)
046-244-5517(厚木店)
ドライバーWeb編集部
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