2024/07/25 ニュース

日本専用「4WD設定」にサンクス、フロンクス! スズキの新型コンパクトSUVに先行試乗

キリッとした表情が特徴のフロンクス

■幅広く、そして低い「クーペSUV」

ダイハツ ロッキー/トヨタ ライズ、さらにはトヨタ ヤリスクロスやホンダWR-Vなど群雄割拠のコンパクトSUV市場。そこにスズキが今秋投入するのがフロンクスだ。

フロンクスは、いわゆるBセグメントに属するSUVで、生産はインドのグジャラート工場。昨年からインドをはじめ中南米や中近東、アフリカなどで販売されているスズキの世界戦略車である。

プラットフォームを共有するのは、現行型バレーノ。バレーノといえば日本でも2016年から販売されていたBセグメントの5ドアハッチバックが記憶に新しいが、4年ほどの販売期間と短命に終わっていた。だが彼の地では2022年に2代目へとフルモデルチェンジ。その2代目バレーノのプラットフォームをベースに開発されたのが今回のフロンクスだ。

なお日本におけるフロンクスの役目は、今年4月に販売を終了したエスクードの後継モデル。と思いきや、ボディサイズを確認するとエスクード(全長4175mm)よりも全長が短い。開発陣のなかでも「エスクード後継」という思いはあまりなかったらしく、まったく新しいジャンルを開拓するモデルとして企画されたようだ。また、当初から世界戦略車であり、日本への投入も考慮されつつ開発が進められた。



そのフロンクスのボディサイズは、全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm。全長はロッキー/ライズと同じ、全幅はヤリスクロスと同じだ。特徴は全高で、シャークフィンアンテナを含めても日本の一般的な機械式立体駐車場に収まる低さ。低くて幅が広く、しかもルーフラインもリヤにかけてなだらかに下がる…まさにクーペのような雰囲気。かなり攻めたクーペスタイルのSUVなのだ。



それにしても全長は4m未満とは思えない伸びやかさが印象的。デザイナー陣いわく、「前後に配したダブルフェンダーが効いているんだと思います」とのこと。そう、前後のフェンダーは1段、ではなく2段構成になっており、ボディに凝縮感を与え、足元をがっしり力強く感じさせる。ちまたのSUVとは一線を画するこの力強さと伸びやかさは、フロンクス最大の見せ場と言っていいだろう。なお、全長4m未満にこだわったのは、インドの優遇税制を考慮したためである。

フロントフェイスも、スズキのクロスビーやハスラーなどのSUVとはまったく違う路線。キリッとした表情は、フロントの灯火類を精緻に作り込んだおかげだ。ちなみにその灯火類の構成は、上部の切れ長3灯はデイタイムランニングランプで、LEDウインカーとの兼用タイプ。その下にある3灯は、下2つがロービーム、上1つがハイビーム。その造形も単純な丸形ではないのもフロンクスの特徴である。



なお、リヤの灯火類もフルLEDであり、横一文字につなげてワイド感を強調。両サイドに「777」が左右対称に並ぶような見え方も新鮮なデザインだ。

インテリアも大事に開発されている。例えばインパネの高輝度シルバーの加飾は、磨き上げられた金属フレームを表現。ブラック×ボルドーの2トーンカラーは見栄えもいいがギラついた雰囲気はなく大人っぽい色味。シート表皮は合成皮革とファブリックのコンビネーションで、精緻なステッチ入りだ。装備面では、海外向けにはない電動パーキングブレーキの採用がトピックで、全車速追従型クルーズコントロール(ACC)を採用している。



もちろんこのACCには操舵支援機能付き。聞けば開発責任者のこだわりで、「自然なフィーリング」を追求している。具体的には、ステアリングを”ガッチリ支援”するタイプではなく、ドライバーの意思を尊重。嫌味のない操舵支援で「いつでも使ってもらえる」ことを意識してチューニングされているという。

■日本専用に「4WDモデル」も設定

今回のメディア向け試乗会は伊豆にあるサイクルスポーツセンターの5kmコースが舞台で、スズキとしては初の試みであった。というのもこのフロンクス、見た目や装備面だけでなく走りや快適性にも相当自信を持っており、実車公開と同時にその乗り味も確認してほしいという意図があったのだ。

しかも…海外向けにはない4WDモデルも設定! インド市場では、このクラスにおいて4WD需要はあまりない(4WDはもっと大きなモデルに乗る人が多いという。WR-Vもインド製で同じ境遇だが、ホンダは設定しなかった)。それなのになぜ日本にわざわざ4WDを用意したかといえば、「4WDがないと、雪国では勝負にならない。お客様、販売店からも”4WDが欲しい”と言われますので」と明快な回答だった。



エンジンは、1.5リッター直4のマイルドハイブリッド付き。海外向けフロンクスには直3の1.2リッターや1リッターターボが採用されているが、振動やノイズ面で有利な4気筒を日本向けに採用した。なお、トランスミッションは6速ATである。「なぜ(エスクードのように)フルハイブリッドではないのか?」との問いには、「やはり価格面を考慮して、マイルドハイブリッドを選択しました」。

さてその乗り味については、下記動画にて確認してほしい。FF、そして4WDにも試乗している。勇ましいエンジン音やどっしりした身のこなし、静粛性についても確認できる。

価格は今秋発表の予定…さあどんな戦略でスズキはフロンクスを日本に送り出すのか?


【試乗編】driver channelより


【内外装編】driver channelより

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING