2023年秋にハイブリッドを、同年冬にPHEVモデルを発売する予定のクラウンシリーズ第二弾「クラウンスポーツ」。正式発表を前に、報道陣及び招待客に向けて実車を公開した。
クラウンスポーツはその名の通り、新生クラウンシリーズ4種のなかで「スポーツ性」を際立たせたモデル。といってもいわゆる背の低いスポーツカーではなく、「スポーツSUV」を名乗る。ボディサイズは、下記の通り。
全長：4710mm【−220mm】
全幅：1880mm【＋40mm】
全高：1560mm【＋20mm】
ホイールベース：2770mm【−80mm】
【 】内は発売済みのクラウンクロスオーバーとの比較。全長やホイールベースを短縮した一方、全幅を広げて筋肉質なスタイルを獲得。全高が高めなのも特徴だ。
フロントフェイスには、昨今トヨタがグローバルモデルに水平展開している「ハンマーヘッド」を採用。プリウスのようにヘッドライトが薄く…と思いきや、じつは「コの字型」の部分はシグネチャーランプとウインカーの併用タイプ。ヘッドライトはその下で、通常フォグランプなどが埋め込まれる部分に配置されている。
驚いたのはリヤのデザインだ。一文字につながるリヤコンビランプ形状の中央には、近くに寄ってわかるサイズのトヨタエンブレムが配置されていた。親指で隠すと、すっぽり隠れてしまうぐらい小さい。
なぜここまで小さくしたのか。開発陣に話を聞くと、「リヤコンビランプが細くつなげたので、エンブレムも小さくしました。トヨタ最小サイズです」とのこと。
スポーツの新しい形、とトヨタが説明するクラウンスポーツのデザイン。どこか欧州車的な雰囲気も漂わせる怪しげな出で立ちには、「これがクラウン!?」と思う人も多いはず。
すでに発売済みのクロスオーバーに続き、今回のスポーツ、そしてセダン、エステートと4種を揃える新生クラウンシリーズ。クロスオーバーを中心に置き、そこから新しい使われ方、表情などを求め、クラウンの生まれ変わりにチャレンジしている途中なのだ。
まだ謎の多い新生クラウンシリーズだが、おぼろげながらパワートレーンの構成についても情報が追加されている。
クロスオーバーは、2.5Lハイブリッドと、2.4Lターボハイブリッドの2種類だったが、これから発売を予定しているスポーツ、セダン、エステートに関しては下記のように公表されている。
・スポーツ：ハイブリッド／PHEV（駆動方式4WD）
・セダン：ハイブリッド／FCEV（駆動方式FR）
・エステート：ハイブリッド／PHEV（駆動方式4WD）
プラットフォームの観点では、クロスオーバー、スポーツ、エステートが横置きタイプ。セダンは縦置きタイプだ。
全車、ハイブリッドは2.5Lの「THSⅡ」になると予想。セダンのハイブリッドは…先代モデルにラインアップされていた縦置きの2.5Lハイブリッドの改良版を採用するはず。FCEVは、現行ミライのシステムがベースか。
一方、スポーツ及びエステートのPHEVは、ハリアーやRAV4の2.5L・PHEVを搭載する見込み。現行のシステムでも総出力300馬力オーバーだから、十分「スポーツ」を名乗れる加速性能。
今回、富士スピードウェイのショートサーキットで乗り味を体感したが、短縮されたホイールベース＋後輪操舵のおかげもあり、気持ちのいい旋回性能を味わえた。それでいて洗練された乗り心地はクラウンらしい部分で、快適性とスポーツ性を見事に両立。
気になるのは価格だ。参考になるのはレクサスRX。2.4Lターボハイブリッドを積むRX500hは900万円で、2.5L・PHEVを積むRX450h＋はそれよりも約30万円安い871万円。もちろんその他の装備差はあるが、パワートレーンのヒエラルキーでいくとPHEVよりも2.4Lターボハイブリッドのほうが上なのだ。
それを前提にクラウンに話を戻すと、クロスオーバーの2.4Lターボハイブリッドは605万〜640万円。ここにRXを参考に得られた「30万円安い」を当てはめると、PHEVは570万〜610万円になると予想できる。
クロスオーバーよりもスポーツがもっとカジュアルな存在で、装備類も簡素化されるとしたら…PHEVでももっと安くなる!?
ただ、ハリアーのPHEVは620万円。基本的に同じパワートレーンで、ハリアーよりも安いクラウンはアリなのか…。価格設定は、非常に難しい。
クロスオーバーの登場で一気に世界が広がったクラウンの世界。そこに「スポーツ性」という新たな魅力を投じるクラウンスポーツ。今後の動向からも目が離せない！
〈文＝ドライバーWeb編集部〉
