2023/04/27 コラム

レクサス高級ミニバン「これはクルマなのか?」と思わせる世界観…レクサスLM、価格は2000万円級!?

「”レクサスの”LM」を作りたかった

■スピンドルボディは機能に則したデザイン

レクサス新型LMの発表の瞬間に立ち会うべく、上海モーターショーに行ってきた。事前に「今回は日本導入アリ」とは聞いていたので、日本のユーザーがどう見るかという目線でじっくり確認してきたつもりだ。

まずそのルックスについては「こういう方向で来たか」と唸らされた。先代はベースのアルファードの迫力を、スピンドルグリルがさらに強調する感じで、端的に言ってオラオラ感が強かった。

【画像】レクサスLM、内外装の写真を見る

対する新型はスピンドルボディの採用で、まずグリルがRXなどのようにボディと溶け込んだかたちになり、シンプルかつ上質、そしてちゃんと個性も備わるという印象にアップグレードされている。全長、全幅の拡大でサイドビューもエレガントさが増した。伸びやかさが加わり、さらにフェンダーラインなどの陰影が強調されたおかげだ。

単に見た目がいいよというだけでなく、この外観デザインは空力性能、冷却性能、操縦安定性にまで寄与しているという。まさに、機能に則したデザイン。正直、周囲にたくさんの主張激しい中国国内メーカーのクルマに囲まれた中では、それが見ていてなおのこと心地よく感じられたのは間違いない。

■車内に乗り込むまでの動線にストーリーを

インテリアがどれだけラグジュアリーな仕立てかは、見れば一目瞭然だろう。ここで個人的には、ファーストクラスのようなシートへと至るまでの導線、そのストーリー性のようなものに、思わずうっとりしてしまった。

eラッチが採用されて、ドアノブを「ガシャン」と引かなくてもスッと開くことができるようになったスライドドアを開け、キツくレザーが巻かれ繊細なステッチが入れられたグリップを掴みながら、豪華なカーペットが敷き詰められた室内に入り、間接照明のほのかな灯りに導かれながら、当たり柔らかく、しかし腰を下ろせばしっかりと身体を支えてくれるシートに身を預ける。この一連の流れが澱みなく心地いい。

横尾貴己チーフエンジニアは「これはクルマなんだろうか?」という世界だという。まさに、そんな感じである。

■パワートレーンは2.4LターボHV

走りについてはまだ未体験だが、最近のレクサス各車の仕上がりを見る限り、不安はない。強いて言えばリアサスペンションにRXで使った新しいマルチリンクではなく、スペース効率の高いダブルウィッシュボーンを使っているのが、どんな風に影響しているのかが気になるくらいだ。

パワートレーンは、日本で体験するはまずLM500hの2.4Lターボエンジン+1モーター+6速ATにeアクスルという組み合わせになるはず。動力性能もさることながら、DIRECT4によるハンドリング、リアの快適性にも興味が募る。

ただし、中国市場だけでなく日本市場を考えても、PHEVは最初から用意されるべきだったのではないかと思う。ここは将来に期待である。

「ひとことで言うと“レクサスの”LMを作りたかった」と横尾チーフエンジニアは言う。何しろLMはLS、LC、LXとともに面としてブランドのフラッグシップ群を構成する1台。その意気込みは、こうして見ただけでも十分に伝わってきた。

先代の価格からすれば、おそらく2千万円級のモデルとなるこのLMが、日本の“高級車”の市場にどんなインパクトをもたらすのか、今秋の導入が楽しみだ。

〈文=島下泰久〉

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING