2023/04/21 コラム

マツダ新ロータリーエンジン「8C」連装計画!! 次世代燃料スポーツカー「RX-9」誕生の可能性は

マツダは諦めていなかった



■企画は2006年からスタートしていた

8C量産へつながる企画は、マツダ社内で2006年に立ち上がり、エンジニアたちが初期構想を練り出したという。時期としては、現時点でマツダ最後のロータリーエンジン搭載車である「RX-8」のマイナーチェンジのタイミングだった。

それから足掛け17年で、その企画は8Cとして世に出たことになる。

2006年時点での企画の狙いは、熱効率を上げて規制対応していくため、ゼロベースでロータリーエンジンのあり方を考え直すことだった。

そうした研究開発の中で、ロータリーエンジン活用の“方法論のひとつ”として表に出たのが、2013年のデミオEVレンジエクステンダー用の排気量330ccのロータリーエンジンだ。

これは、あくまでも“方法論のひとつ”であり、「次期ロータリーエンジン=発電機用」に限定していたわけではない、とも言う。マツダとしては、ロータリーエンジンを「クルマ用=駆動用エンジン本体」として復活させることを重視してきたのだ。

その象徴が、2015年の第44回東京モーターショーに出展した「Mazda RX-VISION」だ。


●マツダRXビジョン

広報資料に記された主要諸元には、エンジン「SKYACTIV-R」とあるが、その実態についてはこれまで一度も明らかにされなかった。

そのため、同モデルはあくまでもデザインコンセプトという見方が多く、それから約7年後に登場したSKYACTIV-Rは発電機用というオチがついてしまっていた。

ところが、今回マツダのロータリーエンジンのエンジニアの証言では、「8Cはそもそもクルマ用(=駆動用エンジン)」である。

筆者が「8Cの排気量が830㏄なので、つまり、8Cをクルマ用とすると、2ローター、または3ローターを想定していたという解釈か?」と聞くと、彼は「そうだ。出力からして2ローター以上の想定(で設計した)」という。

設計にあたっては、熱効率を上げるため、(レスプロエンジンでのボア×ストロークに相当する)ディメンションや、ローターのサイズ・厚みなどをまったく新しく考えたというのだ。

つまり、2015年の「Mazda RX-VISION」の時点では、いまでいう8Cの3ローター構想が現実に存在したと言えるだろう。通称「RX-9」実現可能性は確かにあったのだろう。

だが、発電機用としての活用については、2016~2017年ごろに量産に向けた研究開発が始まった証言する。

世の中はちょうど、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新サービス領域、電動化)へと大きく転換した時期であり、8Cの主要目的が単体の発電機用という位置付けに変わっていったと言える。

ドライバーWeb編集部

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