2023/03/16 新車

一面の銀世界へ駆け出そう! フォレスター STI Sport × 雪道drive

上質な内外装とスポーティな走りが人気のSUV、フォレスターSTI Sportで雪が降り積もる冬のビーナスラインに向かった。確かな技術で裏打ちされた安心感とSTIのテクノロジーが注ぎ込まれた最上級モデルは、緊張感が増す雪道のドライブを愉しい思い出へと変えてくれた。


FORESTER STI Sport
タフな相棒と旅に出る
 
「明けない夜はない」、「やまない雨はない」、「春は必ず来る」。コロナ禍で移動の自由が奪われ、学校の行事、親しい友人との飲み会、仕事、あらゆる物事がリモートを余儀なくされ耐え忍ぶ日々。冒頭の言葉を信じながら3年が経ち、イベントの開催制限が撤廃され、旅行も自由にできるようになり、日常が戻って来た。
 
コロナ禍が収まったら真っ先に行ってみたかった場所が、一面銀世界のスノーリゾート。白銀に輝く樹氷の中を、雪煙を上げながらドライブする。コーナーを抜けた先に待っていたのは、冠雪した山塊の大絶景。
 
そんな脳内イメージをリアルに体験するために選んだのが「総合雪国性能」を謳うスバルのSUV。レガシィ アウトバックやクロストレックなど話題のモデルが目白押しだが、特に雪道を試してみたかったのがフォレスター STI Sportだ。
 
スバルテクニカインターナショナル(以下STI)は、スーパーGT・GT300クラスやニュルブルクリンク24時間レース、全日本ラリーなど、さまざまなジャンルのモータースポーツに参戦。STI SportはSTIが過酷な実戦の場で培ってきた技術や知見を注ぎ「運転がうまくなるクルマ」に仕立てている。
 
WRX S4、レヴォーグ、インプレッサ、そしてフォレスターに設定されているSTI Sportは、それぞれのクルマのキャラクターに合わせてSTIが「調律」を施すことで、走りだけでなく内外装すべてにおいてこだわり抜いて作り上げた特別なモデルだ。
 
ドアを開けた瞬間からブラック&ボルドーでシックにしつらえた空間が広がり、滑らかで上質な風合いのナッパレザーシートに包まれる心地のよさ。STIのブランドカラーである「チェリーレッド」をアクセントに添えた専用マルチインフォメーションディスプレイ付きメーターが、ドライビングを高揚させる。
 
FORESTER STI Sport

雪上で感じる確かな安心感
 
都会の喧騒を離れ向かったのは長野県のビーナスライン。蓼科、白樺湖、車山、霧ヶ峰、美ヶ原といった信州きってのリゾート地と絶景ポイントを縦断する観光道路で、標高差の大きいワインディングロードやきついカーブが連続するつづら折りなど、フォレスターSTI Sportの走りを堪能するのにうってつけの場所だ。
 
絶景ロケの経験豊富な平島カメラマンの提案で、朝8時に標高1630mの八島高原駐車場に到着。夏場は太古の時代から多様な生物を育んできた八島ヶ原湿原を散策する観光客でにぎわうが、冬季はこの先の和田峠に抜ける県道が通行止めになるので通行量が少なく静寂に包まれる。
 
朝イチで走るビーナスラインは前夜に降った雪が積もり、新雪、圧雪、アイスバーンが入り混じる「雪道のデパート」状態。雪道経験に乏しい筆者にとっては冷や汗モノの状況で、ステアリングの手応えが軽くなるやいなや、コントロール不能になる……という状況を危惧していたが、低重心の水平対向エンジンと左右対称のパワートレーンで構成されたシンメトリカルAWDが本領を発揮。
 
フォレスターは路面や走行状況に応じて前後輪に最適なトルクを配分する「アクティブトルクスプリットAWD」を採用しているので、タイヤの摩擦係数が大きく変化し滑りやすい路面でも安定した走りを披露し、「どんな道でも走れる」盤石の安心感がある。「そうか、これがスバル車の総合雪国性能なのか」とあらためて実力の高さを実感した。
 
シンメトリカルAWDと、その走破性を高める制御システム「X-MODE」を搭載するフォレスターの走りのパフォーマンスを高めるのが、STIがチューニングした足まわり。
 
フロントサスに採用したSFRD(周波数応答型ダンパー)は、高周波/低周波どちらの振動も吸収できるようにシリンダー内部に2つの油圧経路を設けて、街乗りでの快適性と大きな負荷がかかるワインディングや高速レーンチェンジでの操縦安定性を両立する。
 
リヤダンパーにもSTI専用セッティングが施される。一般的に旋回中は遠心力が働き外輪側に荷重が偏りやすいが、STIのサスセッティングは内輪側のダンパーとばねをしっかり動かしてタイヤの接地を高めるという発想。4輪のグリップがとても高く、重心の高いSUVでありながら凍結したワインディング路を「ひらりひらり」と駆け抜けられ、まるでスポーツセダンを操っているのかと錯覚するほど。
 
標準装備のシートヒーターとステアリングヒーターのおかげで、外気温が氷点下二ケタでも快適そのもの。平島カメラマンが「朝撮」にこだわる理由は、外気温が上がると雲が沸きやすく青空が望めないから。おかげで樹氷が溶ける前に雪煙を上げて疾走するメインカットを撮影できた。
 
スバルの総合雪国性能とアイサイトの運転支援で、苦手だった雪道ドライブが「冬の愉しみ」に変わった。
 


FORESTER STI Sport
●搭載される1.8L水平対向4気筒直噴ターボエンジンはレギュラーガソリンに対応。高い経済性を発揮する

FORESTER STI Sport
●フロントサスにはSTIが「調律」を施した減衰力可変ダンパーSFRDを採用する
*写真はサマータイヤを装着
 
FORESTER STI Sport
●今回タイヤはヨコハマタイヤのSUV用スタッドレス「アイスガード SUV G075」を装着。トレッドパターンの改善により、氷上制動、静寂性が向上した。新開発の低発熱ゴムで燃費の改善にも貢献する
 
FORESTER STI Sport
FORESTER STI Sport
●ボルドーにレッドステッチのナッパレザーシートは適度な硬さで自然な体勢を保てる。高速道路の長距離移動や継ぎ目が多い悪路も振動が抑えられ快適な乗り心地を実現。リヤシートは2段階のリクライニング機構を搭載する。ダッシュボードはシンプルながら上質にまとめられている。ピラー前方には三角窓が設けられ死角を低減。安全性能にこだわるスバルの「0次安全」をかいま見ることができる
 
FORESTER STI Sport
●路面状況に応じ4輪の駆動力やブレーキをコントロールする「X-MODE」を搭載。フォレスターは車速に応じ制御の有無を自動的に切り替える機能を搭載し使い勝手を向上させた

FORESTER STI Sport
●マルチインフォメーションディスプレイ付きのメーターはSTI専用デザインで所有欲を満たしてくれる
 
FORESTER STI Sport
●雪道のコーナリングもAWDとSTIチューニングのダンパーが確実に路面を捉える。安定感と安心感は想像以上だ。帰りの高速道路ではアイサイトで安心安全を追体験できた
 

FORESTER STI Sport
■STI Sport(4WD・8速CVT)主要諸元
【寸法・重量】
全長:4640mm
全幅:1815mm
全高:1715mm
ホイールベース:2670mm
トレッド:前1565mm/後1570mm
最低地上高:220mm
車両重量:1570kg
 
【エンジン・性能】
型式:CB18
種類:水平対向4DOHC直噴ターボ
総排気量:1795cc
ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm
圧縮比:10.4
最高出力:130kW(177ps)/5200〜5600rpm
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600〜3600rpm
使用燃料・タンク容量:レギュラー・63L
WLTCモード燃費:13.6km/L
最小回転半径:5.4m
乗車定員:5人
 
【諸装置】
サスペンション:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後Vディスク
 
【メーカー希望小売価格】
366万3000円

https://www.subaru.jp/forester/

〈文=湯目由明 写真=平島 格〉

ドライバーWeb編集部

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