2023/03/05 ニュース

スバル新社長に大崎 篤氏が内定。過去に軽・コンパクトカーの開発責任者として取りまとめを担当

スバル新社長に内定した大崎 篤氏

スバルは2023年3月3日、新社長に取締役専務執行役員 製造本部長を務める大崎 篤氏が内定したと発表した。現在、代表取締役社長CEO(最高経営責任者)を務める中村知美氏は取締役会長に就任する。

新たに代表取締役社長 CEOに就く大崎氏は、東京都出身、1962年生まれの60歳。1988年に富士重工業に入社。2007年にスバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーとなり、2011年にスバル技術本部 技術管理部長、2013年にはスバル品質保証本部 品質保証部長に。2016年に執行役員、2018年に常務執行役員、2019年には専務執行役員に就任。2021年には現職の取締役専務執行役員 製造本部長になった。

なお、社長就任は2023年6月開催予定の第92期定時株主総会および株主総会終了後の取締役会を経て正式に決定される。

さて、本誌では、過去に大崎氏を取材したことがあり、12年前の2011年8月号のドライバー誌で記事展開を行っている。当時、大崎氏はスバル商品企画本部 プロジェクトゼネラルマネージャーで、ステラやトレジア、ルクラ、プレオ、ディアスワゴンなどOEM系モデルの取りまとめを担当していた。スバルは軽自動車の自社生産をやめ、トヨタやダイハツからのOEM供給を受けて発売を始めた時期。そんな難しい時期にリーダーシップを発揮したのが大崎氏だった。OEMモデルであってもスバルの商品としてポリシーを貫いたのである。当時の記事を以下でご紹介したい。

※以下は、2011年8月号「ドライバー」の記事より

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■足まわり専用セッティングの衝撃



スバルと言えば、「えっ、ここまで変えちゃううの!?」と驚くくらいの改良の規模や差別化で、クルマ好きをうならせる。OEM車になればこだわりも薄れてしまうのだろうか?

自社生産最後の軽乗用車となったハイトワゴン「ステラ」が2011年5月24日、ダイハツ「ムーヴ」のOEM供給を受けてフルモデルチェンジした。

ポイントは、ベースとなったムーヴの開発の初期段階からスバルも企画に参画している点だ。スバル側でステラ開発の取りまとめを行った大崎 篤氏は「開発の比較的早い段階から、エクステリアの差別化やスバルらしい安心で楽しい走りにつながるような装備仕様にしたい、ぜひスバルの考え方に沿ってやりたい、とダイハツさんと丹念に交渉を重ねてきました」と語る。早い段階から加わることで、差別化の幅をより広げられたのだ。

その代表例がフロントスタビライザー(以下スタビ)の全車標準装備だ。もともとムーヴはスポーティなカスタム系にはスタビが付くが、標準系では設定がない。(中略)スタビの径もいろいろ変えて試してみたが、カスタム系で使っている19㎜径のものが非常にバランスがよかったので装着したという。スタビの装着に伴い、バネやダンパーは専用セッティングにしている。スタビを付けた標準系こそ、じつはスバル入魂のモデルと言える。

また、スバル専用グレード「カスタムRリミテッドS」の設定もニュースだ。ムーヴカスタムのNA系は14インチタイヤを履くが、カスタム系で極端にスポーティなモデルを造りたいということで、ムーヴカスタムRS(スバルには未設定のターボ系)4WDの15インチタイヤとホイールを組み合わせた。インチアップによる走りの効果とスタイリッシュな外観の両立をねらったモデルだ。

(中略)こうしたスバルの要望について、供給するダイハツ側は熱心に受け止めてくれたという。(中略)

スバルは2010年秋にこれからのスバルの歩むべき方向性として“コンフィデンス・イン・モーション”というブランドタグを打ち出した。安心と走る楽しさを追求していこうというスバルの基本思想を示したものだ。「この思想に沿ってクルマ造りをやっていくなかで、OEMの商品についても基本は外せないと思っているんです」(大崎氏)。OEM車であってもスバルのポリシーを貫く。その陰にはパートナーであるダイハツの惜しみない協力もあったことも特筆すべきだろう。OEM車になってもスバルの心意気は失われていない。

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当時の取材時には、大崎氏の回答のレスポンスの速さと取材者に対する心遣い、明るさ、人柄のよさが印象に残っている。軽自動車の自社生産終了という難しい局面で、他社と緊密にコミュニケーションを図り、熱意をもって企画をまとめあげたのである。今後、社長として新たな経営ビジョンを策定し、その実現に向けて取り組むということで、ぜひリーダーシップを発揮してほしいと思う。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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