2021/10/18 コラム

酒を飲んだ婚約者を迎えに行って「無免許&違反、他人になりすまし」…その裏にあった苛烈なDV

●写真は東京地裁

■婚約者を迎えにいった先で交通違反


「道路交通法違反、有印私文書偽造・同行使」。この罪名の裁判も私はだいぶ傍聴してきた。どれも、「無免許で運転中に軽微な違反で取り締まりを受け、他人に成りすました」という事件だった。

今回の被告人は女性だ。女性は非常に珍しい。傍聴してみた。いやはや驚いたね! 交通違反どころじゃないすごい話が出てきた。プライバシーに係る部分は少し変えてご報告しよう。

被告人は30歳代の女性だ。ある日、当時の婚約者から電話がかかってきた。婚約者はクルマで外出しており、酒を飲んだので迎えに来いというのだ。被告人は郊外の自宅から電車で都心へ。指示された駐車場でクルマを見つけ、婚約者が待つ場所へ運転して向かった。

途中、道を間違えてUターン。そこはUターン禁止場所だった。警察官に現認され取り締まりを受けた。被告人は一度も免許を取得したことがなかった。「免許証は忘れた」と言い、違反切符の署名欄に姉の氏名を書いた。その場はそれで終わった。が、だいぶたって別件で警察から姉に連絡があり発覚…。

弁護人「どうして無免許で運転したんですか」
被告人「当時、婚約者で、お腹の中の子どもの父であった■■■■の迎えに…」

被告人は婚約者の名前を出すとき必ずフルネームで言った。そして、暗く静かに淡々と続けた。メモしきれなかった部分を「…」でつなぐ。

被告人「連日、DV被害を受けておりました。急がなければいけない…顔面強打され、肋骨にひびが入る大ケガしていたのに…すべて聞き入れなければまた…■■■■、泥酔状態…また殴る蹴るの暴力、怖くて(無免許運転を)してしまいました」

DV、ドメスティックバイオレンス! 最初は甘く優しいのだが女性と暮らし始めると苛烈な暴力をふるいだす。女性は一種の洗脳状態になるのか、逃げられなくなってしまう。そういうDVがらみの事件はけっこうある。まさか無免許にまでDVが出てくるとは。

弁護人「当時、臨月だった、それなのに…?」
被告人「布団が一面、血まみれになるぐらい…鼻から口から血が出て…お腹の子ども、足で蹴ったり、肋骨2本、ひびが…」
弁護人「それで無免許運転をしてしまったにしても、有印私文書偽造は、あなたが思いついてやったことですよね」
被告人「はい…すぐ(無免許が)バレてしまうと、■■■■からの暴力…されると思いました。迎えに行く時間、過ぎると絶対的に暴力ふるわれるので、早くしなければならないと…」

ドライバーWeb編集部