2021/07/28 ニュース

「EVタイプRやります!」三部新社長が語ったホンダの未来

●ホンダの新社長、三部敏宏氏

電気自動車は「走る、曲がる、止まる」では差別化しにくい



4月に行われた社長就任会見で打ち出された、ホンダの三部敏宏新社長による「2040年には世界で販売する新車のすべてをBEVとFCVにする」という目標は、大きな驚きをもって迎えられた。エンジンのホンダが、脱エンジンを宣言したのだから特にクルマ好きにとっては衝撃的に聞こえたのも無理はない。

正直に言えば私は、ガソリンでも電気でも、それはクルマを動かすためのパワートレーンの違いでしかなく、極端な話どっちでも何でもいい。それより私がこの時に物足りなく思ったのは、本来はもっとも重要なはずの、この先のホンダがユーザーに何をもたらそうとしているのかという夢やビジョンが示されなかったことの方だった。

先日、その三部社長にお話をうかがう機会があり、まずはストレートにそのことを聞いてみた。返ってきたのは、とても率直な言葉だった。

「仰るとおりで、本当はそっちの方が優先順位が高いと思っています。我々はB to Cのビジネスでお客さまに商品を買っていただいているので、それをどうするんだという話が本来は(IR向けの話よりも)最初に来なくちゃいけないですよね。その中で言うと、今後のクルマの価値ということでは、電気自動車は走る、曲がる、止まるという部分では、やはり差別化しにくいのは事実です」

エンジンの圧倒的な魅力や速さといった旧来の価値は、もう通用しない。しかも周囲には過去の常識にとらわれないプレイヤーがたくさん居て、自動車ビジネス自体、新たなフェイズに入っている。

「そこでは、やはり新しい価値を提案できなければいけないということで今、一生懸命やっています。私としてはひとつは空間価値。自動運転技術のようなものが入ってくれば、移動中にセカンドタスクが出来る。でも、そういうニーズは多様だと思いますので、それに応えられるソフトウェアの力が大事になってくる。各社、同じようなことを言っていると思いますが、どこも“コレだ”というものを明確に示せていないと思うので、ここは我々、勝負所だと思っています」

空間価値とソフトウェア。まさに三部社長自身が言うように、これは今、どの自動車メーカーも言っていることで、正直言って、この時点ではホンダならではの何かを示せているとは言い難い。しかしながら、そんなことを思う私の顔色を察してか、三部社長はさらにこう付け加えた。

ドライバーWeb編集部