2021/07/26 コラム

御殿場ICまで10kmの渋滞…って正確にはどのポイントから?|木下隆之の初耳・地獄耳|

●御殿場IC

「いよいよ夏休みですね。アニキも避暑地に行くんですか?」
 編集担当Kは今日も呑気である。原稿の催促をしておきながら、夏休みの話題を持ち出すのである。
「休みたいのはヤマヤマだけど、ドライバーWebの締め切りがあるからな…」
「でしょうね。仕事を放り出すのはよくないっスね」
「まさかキミだけ休むつもりではないだろうね?」
 外気気温の上昇を超えて、血圧が上昇しそうである。
「いや、どうせ大渋滞でしょ。高速道路も20kmとか、30kmとか…」
「だから編集作業に没頭するのだな」
「いや、家で寝てます」
暑苦しい奴なのである。



「ところで質問が。高速道路の距離表示、例えば電光掲示板に『御殿場ICまで10km』とか表示されていますよね。アレって、どのポイントに対しての距離表示なのですか?」
「そりゃ御殿場ICなのだから御殿場ICだろ」
「でも、御殿場ICの出口って2カ所あるんですよ。どっちのことかなぁって思って…」
「そんなこと知って、どうするつもりなのだ?」
「先日ね、ガス欠寸前で冷や汗が流れたんですよ。次の足柄サービスエリアまで13kmだと表示されてるのに、オンボードコンピューターが示す航続可能距離は12kmだったんです。はたしてガソリンスタンドまで辿り着けるのか途中で止まるのか…って。なので、高速道路の距離表示を正確に把握しておいたほうが今後のためになると思ったんスよ」

たしかに高速道路の次のサービスエリアや出口までの正確な距離は気になる。燃費の計測や到達時刻の計算や、編集担当Kのようにガス欠の心配を抱えているときはなおさらだ。



「そもそも、高速道路の破線、つまり白い車線境界線が何メートルかを知るっているね?」
「さて…」
「あの白線の長さは12mなのだ。そして8mの間隔を開けて繰り返されている。つまり、白線から白線までが20m。白線5回で100m。50回で1km。500回で10km。今度数えてみたまえ」
「いやです」

「では、質問に答えることにしよう」
「はい」
「高速道路の残り距離表示は、分岐が始まるポイントから計算されているのだ。キミが東名高速を走行していたとする。そして御殿場ICに辿り着いたとする。ウインカーを点滅させ、出口を降りようとする。そのあたりにゼブラの路面表示があるはずだ。そのゼブラゾーンを導流帯と呼ぶ。その導流帯の、その三角の頂点を起点に計算されているのだ」



「三角の頂点っスか?」
「ただ、雰囲気は三角だけれど、厳密には三角ではない。そこをツッコむんじゃないぞ」
「そこはツッコむなと…」
「まあいい。ゼブラで表示されている三角の導流帯の鋭角に尖っている点から先が御殿場ICというわけ」
「なるほど。そこまでが高速道路であって、そこからはもうICだというわけっスね」
「サービスエリアまでの距離表示も同様である」
「それはいいこと聞きましたね」
「だからキミのオンボードコンピューターが航続可能距離12kmと表示されており、サービスエリアまで13kmだったとする。その場合、導流帯の頂点からガソリンスタンドまでの数百mを加えて計算しなければならない。まあ航続可能距離はそこまで正確ではないけれど…」
「なるほど参考になります。次回は注意しますね。数百m余裕を持って走るようにします」
「そこじゃないだろ。早めに給油すればいいのだ」
「なるほど、あのゼブラは導流帯というのですね」
「参考にするのはそこでもないし…汗」

〈文=木下隆之〉

ドライバーWeb編集部

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