2021/07/02 コラム

BMWのレーシングカー「M2 CS レーシング」が正規ディーラで買える!|木下隆之の初耳・地獄耳|

M2 CS レーシング

「きゃっ、レーシングカーがディーラーで買えるって本当っすか?」
担当編集者Kはいつものようにスットンキョな声をあげた。
「そうなんだ。株式会社モトーレン東都がBMW Japanから正式認定され、販売を手掛けることになったんだよ」



株式会社モトーレン東都(Toto BMW)はこれまでBMW Team Studieのオフィシャルスポンサーとしてモータースポーツに参戦してきた。スーパーGTで活躍するだけでなく、プランパンGTアジアでも圧倒的な成績を残してきた。そこでの経験と知見を生かして、これからは「BMW M MOTORSPORT DEALER」としても積極的に活動することになったのだ。

「ブランパンGTアジアって、キノシタさんが戦ってきたカテゴリーじゃないっすか」
「そうだ、オレ様がM4 GT4を走らせ、圧倒的なポールポジション率と反感を買うほどの勝率で活躍したあのレースのことだよ」
「さりげなく自慢話をぶっ込んできましたね」
「ただ、説明しただけだ‼︎」
「ともかく、ディーラーで購入できるってことは、街道筋の販売店で『これくださいって』っていって乗って帰れるんすね」
「アホか」



まったく編集担当Kの常識知らずには腹が立つ。
「本格的なレーシングマシンで公道を走る奴がいるか!」
「でも、トヨタ86のようなナンバー付きレース仕様もありますから…」
「それとは次元が違うんだ。戦闘力がハンパない」

Toto BMWがまず販売を開始したのは、「M2 CSレーシング」である。直列6気筒3リッターツインターボを搭載したM2をベースにカスタマー用にモディファイしたレーシングマシンであり、圧倒的な性能を誇る。最高出力は450馬力を超える。ドイツ本国のBMW M社とBMW Motorsportが共同開発しており、今回BMW Japanが日本で唯一の正式BMW M MOTORSPORT DEALERとして認定したことで、ワークスマシンの販売が可能になった。

「M2 CSレーシングって、先月のスーパー耐久でキノシタさんが乗ったマシンですよね」
間抜けな担当編集者Kでも、記憶力だけはいいらしい。

「そうだ、オレ様が富士24時間耐久で走らせ、改造範囲の緩い超本格的なGT4マシンを追い抜きまくり、通関を終えたばかりのM2 CSレーシングをノートラブルで完走させ、見事に総合12位に押し上げたあのマシンのである。もはや飽きるほど立った表彰台だけど、この日は格別だったぞ‼︎」
「また、臆面もなく自慢話をぶっ込んできましたね」
「いや、正直にいうとね。誰が乗っても勝てるかもしれないマシンだった」



M2 CSレーシングは本格的なレーシングマシンだから、ロールケージはジャングルジム状態だし、バケットシートも運転席一脚だけだ。内装は軽量化のために、鉄板剥き出しだ。ステアリングなんて、飛行機の操縦桿のようである。タイヤはスリック、とはいうもののトランスミッションは7速DSGだからセミオートマの用だ。電子制御でスピンを抑えてくれるし、ABSも組み込まれている。ビギナーでも扱いやすいようにセッティングされているのだ。ランニングコストを抑えるために、カーボンパーツも多用していない。

「カーボンのほうが、速いんじゃないですか?」
「たしかにカーボン素材は軽量で剛性がある。だが、高価だ。クラッシュしたときに頭を抱えるだろ。操縦性も整っている」
「ニュルブルクリンク24時間にもたくさん走っていましたね」
「そうだ、走りがイージーで速いから人気なんだ」
「だからキノシタさんでも表彰台にのれた?」
「そう、オレ様でも勝てるほど速い…コラ」
「あっ、ノリツッコミもやれるんすね(笑)」
「鼻で笑うな」

「といっても、レースに出る方法が難しいですよね」
今回のプロジェクトには、BMW Team Studieの鈴木康昭氏がスーパーバイザーとて参画している。サポート体制も万全である。
「ちなみに、キノシタさんはプロジェクトメンバーに?」
「いや、オレ様は走るほうだから…」
「嫌われているんですね」
「そう、オレ様は嫌われている…コラ」
「あっ、またノリツッコミ(笑)」


 
〈文=木下隆之〉

ドライバーWeb編集部

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