2021/06/29 コラム

誕生20周年を迎えた三菱eKワゴン。なぜ「e」は小文字なのか

2001年10月にデビューしたeKワゴン。今年は誕生から20周年の節目の年にあたる。その車名の命名秘話について、当時、同車の企画立案に携わった三菱自動車 製品開発本部 プロジェクト計画部シニアスタッフの河村信介氏にお話を伺った。


●初代

■eKの由来は?
全員が気持ちをひとつにして真に「いい軽」を創ろうという願いを込めて、このクルマに付けられたプロジェクト名が「EKプロジェクト」でした。当時、開発責任者を務めた相川哲郎プロジェクトマネージャー(後に三菱自動車社長に就任)による発案で、いくつかの案の中から選定・提案し、社内決定を経てこのプロジェクト名になりました。

プロジェクト名では大文字の「EK」でしたが、発売時には頭文字を小文字にした「eK」になりました。命名当時には担当が変わってしまい正確なところはわかりませんが、エクセレント(excellent)など、さまざまな言葉の頭文字「e」の意味を込めて、単語の一部のような使い方にしたくて、あえてコントラストを付けるために分けたと思います。Kは軽自動車の「Kカー」というように、大文字で使われますよね。いってみれば「K」は固有名詞で、「e」は固有名詞ではなく、いろいろな言葉の「e」というところでしょうか。

■ワゴンと付けられた理由
発売前になり、ペットネームを決めるときに、プロジェクト名「EK」を使って、「ワゴン」を組み合わせました。軽自動車では背の低いセダンタイプ(軽自動車の場合、セダンは独立したトランクを持つ形態ではなく、どちらかといえば乗用車タイプという意味で使われることが多い)が存在しますが、これに対して当時流行していたのが、背が高く広い室内を持つワゴンタイプでした。
 
eKワゴンはセダンタイプの軽と、ワゴンRやムーヴなどが位置する全高1650㎜程度のワゴンタイプの中間、私たちが“セミトール”と呼んでいた全高1550㎜近辺のクルマでした。このセミトールは、セダンタイプの軽自動車に少しお金を足すと、ワゴンタイプと同じような広くて使い勝手のよいスペースが得られる。かつ、一般的な立体駐車場に入るセダンタイプの使い勝手で、今までどおりの行動範囲を実現する。そんな“いいトコ取り”をしたクルマでした。

一方で見方によっては、セダンと同じスペースで価格がちょっと高いねというように受け取られる場合も想定されました。そこで、少しでもワゴンタイプのイメージをお客様に持っていただき、それが安くて広いクルマだというわけで「ワゴン」を付けたと理解しております。

発売前に販売会社の社長さんから『(車名は)プロジェクト名からとって「EKワゴン」でいいんじゃないの』と言われたような記憶もあります。非常にコンセプトもわかりやすいというご意見もいただいて、ネーミングを決める部門がこうした意見をくみ取って、社内の決議機関の会議で決めたということになりますね。

*****

現在ではeKワゴンは4代目に進化。三菱を代表するブランドに成長し、ボディタイプも3代目以降はワゴンタイプ(現在はハイトワゴンと呼ばれることが多い)に移行している。


●4代目(現行型)

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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