2020/12/29 新車

【ニューモデル試乗記】フラッグシップたる矜持|トヨタ クラウン|

初代の誕生は1955年。以後60余年・15代にわたり日本における理想の高級車を追求し、変化を恐れず進化し続けてきたトヨタのフラッグシップ。TNGAの導入によって動的質感を飛躍的に高めた現行型が改良を実施。内外装のクオリティをより高め、さらなる安全・安心機能の充実が図られた。たゆまぬ進化……その根底にあるのは、歴代変わらぬ“日本車たるプライド”だ。


CROWN
●RS Advance ボディカラーはプレシャスホワイトパール


走りが楽しめる日本の誇り

 
2020年秋、クラウンは現行型へ刷新後、初のブラッシュアップを実施した。その内容は、おもに内外装の質感向上と先進安全機能の追加。走りに直接関わる変更は発表されていない。
 
TNGA(*)の導入によりプラットフォームから刷新した15代目。あらためてその実力を確かめるべく、初めてプレス試乗会で走らせたのと同じルートで再確認してみた。
 
試乗車は、トヨタ初採用となる新色プレシャスホワイトパールをまとった2.5Lハイブリッドの「RSアドバンス」だ。新たにリヤコンビネーションランプ内側の加飾をメッキから、輝きを抑えたスモークメッキとしている。日本を代表する高級車でありながら端正なボディカラーと相まって、リヤクオーターから見たスタイリングは一段と精悍な印象だ。
 
まずは、ドライブモードセレクトをコンフォートにする。標準装備のAVSによってダンパーの減衰力が低めの領域に保たれる。なるほど、荒れた路面を通過する際のサスペンションは、スムーズにストロークする。それでいてボディがムダに動かないので目線がブレず、快適で安定した乗り心地を印象づける。
 
深みのある輝きを放つ、新デザインのアルミホイール。それに組み合わせた18インチタイヤ(装着銘柄はブリヂストン レグノGR001)も、スムーズに動く脚との相乗効果で柔軟な接地感を獲得。ザラついた路面を通過する際に聞こえる「ゴーッ」というロードノイズも音量が抑えられ、満足のいく静粛性を確保する。
 
もともと現行型クラウンの特長であるステアリングの切れ味のスムーズさ……操舵に対してロールがジワーッと進む感覚と素直な向きの変わり具合も、新型は応答性を際立たせながら、より軽やかな印象だ。ドライブモードセレクトも、ダンパーの減衰力が高めの領域に保たれるスポーツS以上を選べば、その応答性に正確さがプラスされる。
 
わずかではあるが、実感として走りの洗練度を高め、まさにブラッシュアップされたことは間違いない。
 
日本専用車でありながら、世界一過酷なドイツのニュルブルクリンクを含む各国の道で基本性能を鍛え上げた15代目。6ライトのクーペルックとしたボディと同様、絶えず進化し続ける姿勢も、トヨタ最長の歴史を刻んできたクラウンにふさわしい。
 
ロードノイズが抑えられたことで、搭載する2.5Lの直列4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドシステムの魅力も再認識できた。発進時や定速走行時はモーターのみで走ることが多く、それだけに耳に届く音の大きさよりも音の種類が重要になってくる。この点、現行型クラウンは音が整理されているのでスッキリと聞こえ、これも上質な静かさに結びついている。
 
なおかつ、アクセルを踏み込めばシステム出力は226馬力に達し、伸びのある加速を楽しめる。ドライブモードセレクトをスポーツSにすれば、アクセル操作に対する力強さの立ち上がりも一段と鋭くなり、走りのリズムもおのずとアップテンポになってくるというもの。新型クラウンが快適なだけの高級車ではないことは、見逃せない事実なのだ。
 
しかも、ハイブリッドならではの好燃費も期待できる。今回は交通量の多い市街地と高速道路、ワインディング路での積極的な走りも試したが、最終的に18.4kmLを記録。言うまでもなく、燃費は優れた環境性能に直結する。先進安全装備の進化と併せ、高級車として社会的な責任を果たす、クラウンの“プライド”を感じた。

 
*トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー=トヨタが全社をあげてグローバルで取り組むクルマづくりの構造改革
 



CROWN

より機能的に進化した 

センターディスプレイをダブルタイプから12.3インチのTFTタッチワイドディスプレイへ変更。より高精細になった。先進安全機能も、プリクラッシュセーフティに交差点右左折支援(横断歩行者・対向車両)のほか、体調の急変などドライバーの無操作状態が続いた際に車両を徐々に減速させて停車。早期救命救急を助けるドライバー異常時対応システムを追加。

CROWN


 
CROWN
●本革シートの標準採用をRSアドバンス(写真)とRSアドバンス Four、GとG Fourにまで拡大。センターコンソールのデザインも変更された

CROWN
●RSアドバンスと同Four専用の18インチアルミホイールをダブルスポーク化。艶やかで深みのあるスパッタリング塗装が映える新意匠とした
 
 
 
 

CROWN
■2.5Lハイブリッド RSアドバンス(FR・電気式無段変速機)主要諸元

【寸法・重量】
全長:4910mm
全幅:1800mm
全高:1455mm
ホイールベース:2920mm
トレッド:前後1560mm
最低地上高:135mm
車両重量:1770kg
 
【パワートレーン・性能】
エンジン型式:A25A-FXS
エンジン種類:直4DOHC
総排気量:2487㏄
ボア×ストローク:87.5mm×103.4mm
最高出力:135kW(184ps)/6000rpm
最大トルク:221Nm(22.5㎏m)/3800〜5400rpm
モーター型式:1KM
モーター種類:交流同期電動機
最高出力:105kW(143ps)
最大トルク:300Nm(30.6㎏m)
動力用主電池種類・容量:ニッケル水素電池・6.5Ah
使用燃料・タンク容量:レギュラー・66L
WLTCモード燃費:20.0㎞/L
最小回転半径:5.3m
乗車定員:5人
 
【諸装置】
サスペンション:前後マルチリンク
ブレーキ:前後Vディスク
タイヤ:225/45R18
 
【価格】
597万9000円
 
 


〈文=萩原秀輝 写真=山内潤也〉

ドライバーWeb編集部

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