2020/09/15 コラム

劣化を早めてしまう?車内をアルコール消毒するうえで気をつけるべき点とは

レンタカーやカーシェアリングでは必須?


新型コロナの話題ばかりで、もう結構と思っている方もいるだろうが、今回はクルマ関連のコロナ対策に関して。今ではアルコールによる手指消毒は当たり前になり、マスクを装着して飛沫飛散防止を心がけている人も多いと思う。では、クルマの内装の消毒はどうだろうか。



クルマは一人で乗る限り飛沫感染の可能席はないし、エアコンの外気導入とドアウインドーを効率よく開けることで、後席に乗った人の飛沫の影響を受けにくくできる。しかし、自分だけが乗る愛車ならウイルスが車内に付着しているかどうかは判断できるが、レンタカーやシェアリングカーは、誰がどこを触ったかはわからない。ウイルスは付着した場所の素材によって数時間から2日間程度感染力を維持しているらしいが、新型コロナに関してはいろいろな報告があり、付着後すぐに感染力がなくなることはなさそうだ。もちろん指で接触しても目や口の粘膜などに付かないと感染することはないのだが、ついつい口を触ったり目をこすったりしてしまうから消毒が大切なことに変わりはない。

子供はチャイルド(ジュニア)シートに座らせるため、座った状態で手が届く範囲と乗降時に触れる場所を消毒すればいいことになるが、大人は面倒だ。特にドライバーは多くの場所を触る可能性があるためしっかりと消毒したい。

濃度の濃いアルコールは効果が薄い


まずウイルスを撃退するのに有効だといわれているのがアルコールだ。手指の消毒に使われているのもアルコールで、多くの場合エタノールが使われていることが多い。今年の3月ごろからはドラッグストアなどでアルーコル消毒液が店頭から消えて手に入らなくなったが、最近は徐々に店頭に置かれるようになった。社会がパニック状態のときにはエチルアルコール100%液や無水アルコールまでも飛ぶように売れていたが、じつはこれらで消毒してもウイルスを撃退する能力は小さい。もちろん何もしないよりいいのだが、濃度の濃いアルコールは意外にも効果が薄いと言われている。

手指消毒などに使われている製品の成分表を見ると、アルコールが70%前後と表記されているものが多い。じつはもっとも効果があるのがこの数値で、純度100%では効果が薄れてしまうのだ。もっとも効果を発揮させるには、市販のアルコール70%前後の消毒液を使えばいい。アルコールを使う場合は換気を兼ねて必ずウインドーを開けてから行うことが必要だし、タバコなど火気も厳禁だ。万が一火が付いた場合、アルコールは水をかければ消化できる。アメリカのインディカーの燃料はエタノール85%(15%はガソリン)が使われているが、消火に水を使うのは有名。ただしアルコールの炎は見えにくいので注意が必要だ。

クルマのプラスチック部品や本革は大丈夫か!?


次に問題になるのが、クルマのプラスチック部品にアルコール消毒液をスプレーしていいのかということ。ドアを開閉するアウターハンドルは樹脂でコーティングされていたり、ドアロックのためのセンサーが付けられているが、いずれも耐候性や耐油性を考慮した設計になっているため布にアルコールを付けて拭くのならすぐには問題にならない。すぐにというのは、やはり経年劣化を早める可能性があるのからだ。ポリプロピレン(PP)やポリカーボネート(PC)はアルコールの影響を受けにくいとされているため、これらを使った部分であれば使うことができる。

車内に入ってまず触るのがドアを閉めるためのドアトリム、次にステアリングやプッシュスタートボタン、シフトレバー、ウインカーレバー、ワイパーレバーなどだ。これらはプラスチックでてきているが、厄介なのが本革ステアリングホイール。本革とはいうものの経年劣化を少なくするためにほとんどが革の部分にウレタンコーティングが施されている。アルコールで消毒してもウレタンコーティングがすぐにはがれるということはないが、劣化を早める可能性はある。輸入車の一部はプラスチックに塗装をしている場合があるので要注意だ。塗装がはがれたり、スイッチのマークや文字が消えてしまう可能性がある。こうした塗装部品のなかには、経年変化でベタベタするようになるものがあるが、こうした部分に使うと劣化を早める可能性がある。

すぐに劣化してしまうことはないが…


だがほとんどの場合、アルコールを使って消毒してもすぐに変化が現れることはない。実際、自動車メーカーのプレス向け試乗会などではアルコールで各部を消毒しているが、よく見ても変色などはないからそれほど心配することはない。長期使用で劣化を促進する可能性はあるが、レンタカーやシェアリングカーの場合はどんな人が使ったかわからないからしっかり消毒したい。各レンタカー会社やシェアリング事業者の多くは、ドアハンドルやステアリング、シフトレバー、カーナビ、シートベルトのバックルなど指が触れる場所の消毒しているという。業者のなかにはシートまで除菌スプレーを噴霧しているというが、一般的には指が触れる場所だけで十分。シートの中身はウレタンスポンジが使われていることが多いため、過度にスプレーすると劣化を早めることになりかねない。

パーソナルモビリティであるクルマは、感染防止に役立つ重要なツールだ。自分だけしか乗らないのなら自分の手指消毒をしてから乗り込めば安心だ。不特定多数の人が使うクルマは前述のような部分をしっかりと消毒したい。

〈文=丸山 誠〉

ドライバーWeb編集部

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