機動力のあるピックアップトラックをキャンピングカーに仕立てたら、遊びのフィールドがさらに広がることは間違いない。ハイラックスへキャビンを架装したキャンピングカーを作り上げたのが、キャンピングカービルダーのダイレクトカーズだ。
新たな世界を切り開くSUV 2023年2月3日、幕張メッセで開催された国内最大級のキャンピングカーイベント会場で、ハイラックスベースのキャンピングカー「BR75」がそのベールを脱いだ。フロント部分はSUVらしいハイラックスのスタイリングを残しつつ、ピックアップ部分がカスタムされている。
キャンピングカーはボディの構造で種類が分かれていて、BR75はキャブコンというカテゴリーに属する。国産キャブコンのベース車両はトラックが主流だが、現行ハイラックスをベースにしたモデルは初。クルマ本来の性能を生かした走りを強く期待させるキャンピングカーだ。
BR75を開発したダイレクトカーズの百田雅人氏は「大人の秘密基地を作りたかった」という。その車名に込められているのは「B」がbase(基地)、「R」がretreat(隠れ家)の意味。当初からそのコンセプトを掲げ、開発が進められた。
「開発に2年かかりました。秘密基地のような場所を作りたかったので、インテリアの質感にこだわっています。ハイラックスだからといって、ハードな印象を強調するのではなく、都会的なデザインを取り込んで、街なかでも、秘密基地的存在でいられることを表したかった」と百田氏。
エクステリアにもこだわりが多数。
「ハイラックスのイメージを崩すことなく、一体感のあるシルエットを目指しました。純正パーツを使いながら、流麗なボディラインを作るのに苦労しました。アクリル窓のダークカラーもこだわりのポイントです」
室内はリビングスペースとシャワールームの2つに分かれている。ボディ左側後方にあるリヤエントランスドアをくぐると、シャワールーム入口となるスライドドアが目の前に現れる。そのドアをよけるように左側へ進んで、リビングスペースへ入っていく。天井は高く、車内の移動もスムーズ。ポップアップルーフを上げると、さらに室内空間が広がる。
キャビンスペースはハイラックス本来の車内空間とつながっていて、人が行き来できるレイアウト。上部にはプルダウン式ベッドを格納する。夜になると、リビングスペースのベンチをベッドに展開し、プルダウンベッドを引き出して、大人4人、子供2人の就寝スペースを確保。その心地よく包み込まれた空間は、まさに大人の秘密基地と言えるだろう。
●ピックアップ部分を取り除き、キャビンを搭載。後方にリヤエントランスドアがある。室内からもキャビンへ移動することができる ●ハイラックス純正テールレンズをそのまま流用し、リヤビューを引き締める。リヤゲートを開けると、そこにはシャワールームがある
「男の秘密基地」をイメージしたインテリア ●セカンドシート後方に対面ベンチシートを設置。背もたれ部分のマットを外し、ベンチの間に並べるとベッドが完成する ●インテリアカラーは2種類用意されている。木目調テクスチャーは共通で、明るさに違いがある ●リヤ部分に設けられたシャワールーム。室内空間とは独立していて、リヤゲートからも室内からもアプローチできるようになっている ●キャビン前方にバンクと呼ばれる空間があり、折り畳み式ベッドを収納。ベンチシートのベッドと合わせると、ファミリーでも就寝可能だ ●家庭用エアコンを搭載。室外機はボディ下にある。リチウムイオンバッテリーにより、バッテリーのみの稼働を可能にした
●ボディ後部にAC100V出力コンセントを装備。リチウムイオンバッテリー搭載の強力なシステムから、クルマの外へ電源供給する ●BR75の「SUV ADVENTURE CAMPER」という世界観を表したBR75-C。ハイラックスのピックアップにFRPボディパーツを架装したカーゴトレーラー
ダイレクトカーズ代表取締役百田雅人さん
●軽自動車から大型まで、さまざまなタイプのキャンピングカーを生み出してきた百田氏。ユーザーのライフスタイルをサポートし、いざというときに役立つクルマを作り続ける 〈文=渡辺圭史 写真=永田正男〉
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