2022/08/26 コラム

N-VANより不利!? スペーシア ベースは、なぜ200㎏積みなのか。開発者に聞いた

リヤに貼られるチェッカープレートにも気合いが入っている



■スペーシア ベースは市場開拓型の商品

伊藤氏は続けて、スペーシア ベースの独自性について語っている。

「スペーシア ベースの新しさは、乗用車としてしっかり2人が乗れて、後ろは空間を自由自在にいろいろなことに使える点です。それは遊びだけではなく、もちろん仕事にも使えます。他社さんにはありそうでなかったんですよ」

確かに、N-VANは助手席を床面に格納する関係で、助手席が簡易的な設計となってしまっている。もちろん、シートヒーターもない。ハイゼット キャディーは2人しか乗れず、150㎏までしか積めない。

「ここが狙えたのは、エブリイがあって、スペーシアがあってという、その財産があったから。エブリイがなかったら、もっとしっかりと350㎏積めるようにということで、ホンダさん(N-VAN)のような方向に行っていたかもしれません」

スペーシア ベースが200㎏積みとしたのは、最適解を狙って“あえて”の結果だった。アルト、ワゴンRなどスズキは歴史的に見ても市場開拓型の商品を生み出すのが得意だ。スペーシア ベースはN-VANにはない特徴点で、150㎏少ない最大積載量のハンディを打ち消すのか。N-VANの2021年1〜12月の合計登録台数(届出台数)は2万6147台で、スペーシア ベースの年間目標販売台数は1万台。スペーシア ベースは控えめな数字のように思えるが、結果やいかに。

ちなみにダイハツには、ハイゼットカーゴをベースに乗用ライクに仕立てた、最大積載量350kgのアトレーがある。ただアトレーは、キャブオーバーバンであり、エンジンが前席下に搭載されているため、振動や騒音、乗降性はボンネットタイプのバンよりも劣る。このアトレーに競合するのは、スズキでいえばエブリイ ワゴン。

スペーシア ベースは、他社や自社も含め、ラインナップの空白に投げ込んだ新ジャンルの軽商用車なのだ。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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