2022/08/26 コラム

N-VANより不利!? スペーシア ベースは、なぜ200㎏積みなのか。開発者に聞いた

リヤに貼られるチェッカープレートにも気合いが入っている



■スペーシア ベースは、なぜ最大200kg積みなのか

そして、今回のスペーシア ベースは4人乗り・最大200㎏である。N-VANの350㎏より150㎏も少ない。なぜ200㎏積みになったのだろうか? スペーシア ベースの開発責任者を務めたチーフエンジニアの伊藤二三男氏に伺った。

「スペーシア ベースは2人乗りも検討しましたが、やはりいざという時に4人乗れたほうがクルマとしての価値は断然高いと思います。今回は前席に2人がしっかりと乗れることをテーマに、軽商用車初のシートヒーターを装備するなど快適性にもこだわりましたが、緊急時に4人は乗れるという点は譲れなかったですね。

最大積載量についてですが、もともとこのスペーシア ベースは、ホンダさんのN-VANやダイハツさんのハイゼット キャディーも属するゾーンが空白だったので、新しい狙いどころとして考えました。後ろの空間を仕事や趣味などさまざまな用途に使いたかったので、ベース車両は広い荷室を持つスペーシアやエブリイが候補にあがりました。音やヒップポイントの低さではスペーシアがベスト。さらにスペーシアは安全装備も整っていますので、ベース車としてはうってつけでした。

このように乗用車のスペーシアがあり、それを財産として使おうとしたのです。そして、できるだけテコ入れせずに成立させられるかを考えました。あまり構造的な補強をせずに、どこまで耐えられるかという最大積載量の数字が200㎏。また、商用車はたいてい商用車用の専用タイヤを採用しますが、今回は乗用車用のタイヤ(ワゴンRスマイルが履くタイヤ)を使うことになりました。

乗用車用のタイヤを商用用途に使おうとすると、じつは耐荷重に対して0.9掛けした耐荷重までしか認められないという制約があって、必然的に最大積載量が決まってきます。そこで割り出したのが200㎏という答えでした。そもそも、最大積載量を350㎏にしようとすると、足まわりもいろいろな部品を変えないといけなくなるなど専用開発が必要になる部分が出てきます。開発期間や投資金額を考慮して選択肢から外したわけです。

350㎏を積みたい方のためには、弊社ではエブリイもあります。また、エブリイのお客様が実際に積載する量を見ていくと、だいたい200㎏以下というのが多いという弊社の調査結果もあります」

ドライバーWeb編集部

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