2021/08/30 新車

その価格2794万円…ホンダNSX最終モデル「タイプS」が正式発表

●フロントまわりが大きく変わった「タイプS」


<ダイナミクス>パワートレーンを強化



もともと2代目NSXは、「人間中心のスーパースポーツ」という初代のコンセプトを継承。ホンダ独自の3モーターハイブリッドシステム「スポーツハイブリッドSH-AWD」の採用によって、エンジンだけでは達成することが難しい、高いレベルのレスポンスとハンドリング性能を実現した点が最大の特徴である。タイプSは、“全速・全域スーパーカー体感”をうたい、ドライバーとクルマの一体感や操る喜びをさらに向上させることがテーマである。



■パワートレーン
3.5L・V型6気筒ツインターボエンジンは、高耐熱材ターボチャージャーの採用によって過給圧を5.6%アップ。インジェクターの噴射量を25%拡大し、フィンピッチを変えて放熱性を高めたインタークーラー(放熱量15%向上)を採用。なお、ターボチャージャーとインジェクターは従来、欧州仕様車で使っていたもので、タイプSの過給圧はヨーロッパ仕様とは異なる。インタークーラーはタイプS専用である。これらによって、出力は20モデルとの比較で22馬力/5.1㎏m向上し、529馬力/61.2㎏mになった。

リチウムイオン電池は従来とハードは共通だが、バッテリーの使用可能容量を20%拡大することによって、出力を10%アップし、7馬力向上させた。また、前輪の左右を独立した2つのモーターで駆動するツインモーターユニットは、レジェンドなどで使用しているローレシオタイプ(従来比20%ローレシオ化)のものに変更。加速時のレスポンス向上とバッテリー使用量アップによるスムーズなEV走行を実現した。こうしたパワートレーンの改良によって、システム出力は29馬力/2.1㎏mアップの610馬力/68.0㎏mになった。

9速DCTは、減速側のパドル(左側)を0.6秒ホールドすることで瞬時にもっとも低い適切なギヤにシフトダウンさせることができるパドルホールドダウンシフトを装備。従来はパドルの操作によって1段ずつシフトダウンする必要があったが、タイプSでは車速に合わせたギヤに自動的に落としてくれる。この機構はスポーツカーメーカーでの採用実績が増えており、今回ホンダで初めて採用した。

さらに、運転時の高揚感やクルマとの一体感を高めるためにエンジンサウンドのチューニングも行っている。

■ボディ/シャシー
アクティブダンパーシステムは、ダンパーの減衰領域を拡大。特にバネ上の制振域のレンジを広げることで、乗り心地とハンドリングの両立に貢献している。



タイヤは銘柄をコンチネンタル「スポーツコンタクト6」から、ピレリ「P-ZERO」に変更。グリップ性能のさらなる向上を図っている。また、フロント245/35ZR19(93Y)、リヤ305/30ZR20(103Y)のタイヤサイズは従来と共通ながら、ホイールのインセットを変える(フロント55㎜→50㎜/リヤ55㎜→45㎜)ことで、トレッドをフロント10㎜/リヤ20㎜拡大。限界性能とコントロール性を引き上げている。

■進化した走行モード選択システム
2代目NSXの特徴の1つとして、走行シーンに応じて4つの走行モードが選択できる「インテグレーテッド ダイナミクス システム」があげられるが、タイプS専用に、アクティブダンパーシステムや電動パワーステアリングの制御を見直している。また、スポーツハイブリッドSH-AWDの駆動配分制御も変更した。
・QUIETモード:EVドライブの加速性能向上、EV走行領域の拡大。
・SPORTモード:全輪の駆動制御や姿勢制御を最適化。少ない操作でレスポンスのよさ、軽さを感じる制御セッティングに変更。
・SPORT+モード:SPORTモードに対して、さらに地面をつかむようなトラクション系の制御に変更。
・TRACKモード:サーキットでのハイパフォーマンス走行での高いコントロール性とエンジンサウンドの一体感を向上。鈴鹿サーキットのラップタイムでは20モデルに対して2秒短縮している(タイムは公表していない)。

ドライバーWeb編集部

RELATED

RANKING