ドイツ本国でローンチ。まずはFFから
メルセデス・ベンツは、2021年1月20日に新型BEV(電気自動車)のEQAをオンラインでワールドプレミア。ヨーロッパ市場では2月4日に発売とアナウンスした。2017年9月にフランクフルトモーターショーで公開された「コンセプトEQA」は、Aクラス的な背の低いコンパクト ハッチバックのプロポーションだったが、今回発表となったEQAは、コンパクトSUVのシルエットで、実際に新型GLA(H247)をベースにしている。ちなみに、日本市場への導入はまだ未定だ。
【画像ギャラリー】メルセデス・ベンツ EQA 詳細画像全長4463mm、全幅1834mm、全高1620mmのボディサイズは、GLAより若干長く、2729mmのホイールベースはGLAと共通だ。今回発表された「EQA 250」と呼ばれるモデルは、66.5kWhが使用可能な、420Vの高電圧リチウムイオンバッテリーをフロア下に搭載し、190馬力/375Nmを発揮する交流同期モーターをフロントに積む。つまり前輪駆動モデルだ。
車両重量は2040kgで、ICE搭載の2WDモデルより300kg程重い。0→100km/h加速は8.9秒、最高速度は160km/hに制限される。NEDCにおける100km走行あたりの電力消費量は15.7kWhで、航続距離は486km。WLTPではそれぞれ17.7kWhと426kmとなっている。
バッテリーの充電は、最大100kW(直流)の急速充電に対応しており、残量10%から80%まで30分で充電可能。ウォールボックス(交流11kW以上)を使用した場合は、10%からフル充電に要する時間は5時間45分となっている。
ちなみに現時点ではEQA 250のみだが、より大きなバッテリーとリヤモーターを搭載し、200kW(271馬力)以上の最高出力とWLTPで500kmを超える航続距離を備えた4MATICバージョンも、後日追加される予定だ。
EQ専用の装備が盛り沢山
エクステリアは、ブラックアウトされたフロントグリルや、左右のヘッドライトを繋ぐライトバンド、ブルーのストライプを備えた専用アダプティブヘッドライト、2トーンまたは3トーンの20インチ専用アルミホイール、専用riリヤコンビランプとそれを繋ぐライトバンドなどを採用。EQモデル専用のデザインランゲージにより、EQCに通じる先進的なイメージに仕立てられている。なお、Cd値は0.28と良好だ。
インテリアは、基本的にはGLAと共通だが、新デザインのパーフォレーテッドレザーのシート表皮やブルーのステッチ、10.25インチのディスプレイを2つ並べたインパネ、ドット状にブルーのLEDバックライトが光る助手席正面のパネルなどが、ハイテク感を際立たせている。ラゲッジ容量は、通常時で340L、40:20:40の3分割可倒式リヤシートを倒せば1320Lまで拡大する。
ナビゲーションシステムには、専用の経路探索プログラムが備わり、充電時間や地形、天候、交通状況、ドライバーの運転スタイルなど、さまざまな要素を考慮して、目的地へ最短で到着するルートを算出する。MBUXは標準で備わり、EQメニューにもアクセス可能だ。
技術面におけるトピックは、電動パワートレーンの排熱を利用して車内を暖めるヒートポンプが標準で備わる点だ。これにより暖房時の電力消費を大幅に減らしている。またMBUXまたはMercedes meアプリを介して、乗車前に車内を快適な温度にするプリエントリー・クライメート・コントロールも備わっている。
走行状況に応じてインテリジェントに高効率なエネルギー回生を行うECOアシスト機能を搭載する点も特徴だ。ナビデータや交通標識(つまり勾配や制限速度)、先行車両との距離、車両の各種センサーからの情報を考慮して、ドライバーにアクセル操作や回生ブレーキレベルの変更を提案。使用電力を節約し、航続距離を拡大する。
ドイツブランドのBEV攻勢が勢いを増してきた!
ドイツにおけるEQA 250の価格は、19%の付加価値税込みで4万7540ユーロ50セント(約600万円)。VWが昨年9月に発表したID.4の1stエディションは4万9950ユーロ(約630万円)とほぼ同価格帯だが、こちらは4WDモデルなので、EQAのほうが価格帯はやや上だ。まもなく登場予定で、10月の日本市場導入を目指しているアウディQ4 eトロンが直接的なライバルとなりそうだ。
●アウディ Q4 eトロン スポーツバック コンセプトメルセデスは2021年に、EQAのほかにもEQBやEQS、EQEと立て続けにBEVを発表すると言われている。BMWも次世代EVのiXを発売予定で、アウディもQ4 eトロンのほかにフラッグシップクーペのeトロン GTをリリースする模様。ポルシェもタイカン・クロスツーリスモを発売し、VWはID.4とID.5を市場に導入する見込みと、ドイツブランドのBEVが市場を席巻しそうな雰囲気である。
<文=竹花寿実 text by Toshimi Takehana>