2020/09/29 ニュース

【子供の交通安全を考える】「7才の交通安全プロジェクト」交通安全教材とデジタル標識開発・実験結果を公表|こくみん共済coop〈全労済〉|

こくみん共済coop〈全労済〉は、2020年9月14日(月)から17日(木)にかけて、金沢大学との共同研究として子供たちを交通事故から守るための交通安全教材とデジタル標識の開発と実験を実施した。

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これは、小学生にあがり行動範囲の広がった7歳児は、大人よりも目線が低く、十分な注意力が育まれていないため、ほかの年齢に比べて突出して交通事故に遭いやすいというデータに着目し、未来ある子供たちを交通事故から守るために、2019年1月より、こくみん共済coopが取り組んでいる「7才の交通安全プロジェクト」の活動の一環。
 
今回行った交通安全教材およびデジタル標識の開発と実験は、金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の藤生 慎准教授および金沢大学人間社会学域学校教育学類附属幼稚園(以下、金沢大学附属幼稚園)の協力のもと実施された。


 
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「7才の交通安全マップ」の活用で交通安全への理解が高まる結果に

まず、交通安全教材については、小学校1年生向けの「7才の交通安全マップ」を開発。2019年11月に「小学校低学年児童の交通安全に関する基礎研究」として、金沢大学附属幼稚園園長へヒアリング調査を実施。そこで得られた“交通の専門家や親だけでなく幼児教育の専門家による交通安全教育が必要”という調査結果を踏まえ、藤生准教授および金沢大学附属幼稚園監修のもと、園児と保護者の意見を反映しながら、クイズ形式で楽しく交通安全ルールを、学べる「7才の交通安全マップ」を開発した。
 
この「7才の交通安全マップ」を使用して、2019年9月17日に金沢大学人間社会学域学校教育学類附属小学校(以下、金沢大学附属小学校)の1年生の3クラスで、交通安全授業を実施した。授業の結果、同マップを使用した教育の有無で、子供たちの「交通安全について考えることの大切さ」の理解度に30ポイント以上の差が出ることが明らかになったという。
「7才の交通安全マップ」は今後、より多くの子供たちの交通安全に役立てるために石川県の小学校204校の1年生に先行して配布し、その後富山県と福島県の小学校1年生にも配布を行う予定だ。
 
 
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[7才の交通安全マップ実験概要]

■調査対象:金沢大学附属小学校1年生(1クラス35人×3クラス=105人)
■調査方法:金沢大学附属小学校1年生を対象に下記3グループに分け、実験
A=交通安全マップに関してレクチャーを受けた先生から交通安全に関して教育
B=交通安全マップに関してレクチャーを受けていない先生から交通安全に関して教育
C=交通安全に関する教育なし
実験終了後、被験者にアンケートに回答してもらい、事件前後の交通安全に対する意識の変化などを検証

〈実験結果〉
1.「横断歩道を渡る際に大切なこと」の理解度はA・Bグループは80%以上

A・Bグループは、理解度が約90%以上となったのに対して、Cグループは約80%に止まった。横断歩道を横断する際の基本的な内容であるため、どちらも高い値になった。これは教育の有無にかかわらず、交通安全に関する基本的な理解はあると推察される。
 
2.「道路を歩く際の歩行位置」の理解度は教育を受けると最大97%に

A・Bグループは、理解度が最大で約97%であるのに対して、Cグループでは約40%に止まった。道路を歩く際の歩行位置は子供たちにとってまだまだ理解されていない点であることが明らかになった。
 
3.「交通安全について考えることの大切さ」の理解度は最大31.4ポイントの差が

A・Bグループの理解度が最大で約80%であるのに対して、Cグループは約48.6%に止まった。交通安全教育により、子供たちの交通安全意識を向上させることが明らかとなった。




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デジタル標識の利用が大きく理解度を向上させる

いっぽうデジタル標識の開発とその実験では、その利用価値が大きく高いことが実験結果から得られた。
 
「一般的な標識の配置とデザインでは、危険を知らせるサインも子供の目に留まりにくい」という研究結果に基づき、ビーコンデバイス(以下、ビーコン)を持った子供が標識に近づくと、犬やペンギンなどかわいい動物の動画が再生される「デジタル標識(とまれ)」を開発。
このデジタル標識は、通学路上の十字路や交差点に近づくと、付近に設置した受信機に反応して、デジタル標識上で「とまれ」を促す動画が再生される仕組みとなっている。
 
デジタル標識実験は9月14日から17日の期間、金沢大学附属小学校にて実験を行った。実験の結果は、デジタル標識の設置・非設置で、対象となる児童の交通安全意識(一旦停止・左右確認など)が60%以上向上した。児童へのヒアリング調査では、デジタル標識が「わかりやすい」、「横断歩道できちんと止まって左右確認ができる」という意見が多数あったという。


 

[デジタル標識実験概要]

■調査対象:金沢大学附属小学校1年生(15人)
■調査方法:金沢大学附属小学校1年生にビーコンを配布し、実験
小学校付近の交差点など3カ所にデジタル標識を設置。ビーコンを携帯した児童がデジタル標識に近づいた際、交通に関する注意喚起を図る動画が流れるように設定。ビーコンを携帯していない場合との交通安全に対する意識の差などを検証

〈実験結果〉
1.デジタル標識の興味関心

横断歩道や交差点に設置したデジタル標識について、通行する児童にヒアリング調査を実施したところ「ビーコンの種類によって表示される絵が異なるのでおもしろい」、「横断歩道を渡る際に何をすればいいのかを教えてくれるのでとてもわかりやすい」などの意見があった。
 
2.デジタル標識による交通安全効果

デジタル標識による交通安全効果は、信号のない横断歩道で顕著に表れることが明らかになった。児童に対してデジタル標識で注意喚起した場合、約60%の児童が安全確認のうえで横断歩道を渡っていた。また、ビーコンを持つ児童が持たない児童に注意喚起するといった波及効果も見られた。


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「7才の交通安全プロジェクト」取り組み内容

こくみん共済coop〈全労済〉は、未来ある子供たちを交通事故から守るために、2019年1月より「7才の交通安全プロジェクト」に取り組んでいる。
このプロジェクトでは、2020年6月から通年の取り組みとして、「マイカー共済」見積もり1件につき1本の横断旗を全国に寄贈する取り組みを実施している。2020年9月には、全国1806の幼稚園・保育園に合計3万4076本のオリジナル横断旗を寄贈した。

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このほか、子供と親の交通安全意識を高めることを目的に、親子で楽しみながら交通安全について学べるデジタル絵本「ふしぎなふしぎなマジカルメガネ」4刷をプロジェクト公式サイト内に公開している。
 
2019年11月から、金沢大学と共同研究をスタートし、7歳児を中心とした子供たちの目線や行動から、安全を守るための具体的な分析と施策に取り組んでいる。今回の交通安全教材とデジタル標識開発・実験はこれに当たる。
 
 
7才の交通安全プロジェクト公式サイト

 
 
〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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