クルマは、走っているうちに静電気が溜まっていく。溜まった静電気を放出せずにそのままにしておくと、例えばガソリンスタンドで給油したときに、火花が飛んで引火してしまったり、またその静電気が電装系へ悪影響を及ぼしたり。静電気を溜め込んでもいいことはない。
だから、タイヤは電気を通すように作っている。でも、タイヤは基本的にゴムだから電気を通さないのでは? 確かにそうなのだが、タイヤのゴムは、ゴムといってもさまざまな素材からできあがっており、なかでもゴムを強くし、そして黒くするために混ぜ込まれているカーボンブラック、これが導電性を持っているため、タイヤは電気を通す。よって、クルマの静電気は勝手に地面に放出され、問題はなかったのだ。ゴムに「ある素材」が混ぜ込まれるようになるまでは…。
その「ある素材」とは、シリカだ。シリカは、ケイ素と酸素で構成される物質で、カーボンブラックと同様にゴムを補強するために用いられる。カーボンブラックをシリカに置き換えると、ゴムの変形回復が速くなる、という性質がプラスされるため、タイヤが転がりやすくなる。すなわちシリカ配合ゴムは低燃費に貢献する。シリカはどんどん重要度を増しているのだ。
●一番右がカーボンブラック。左の3つはシリカだ。シリカといっても種類がたくさんで、粒子の大きさなどさまざま
そんなシリカ、簡単に言えば「ガラス」なので電気を通さない。金属の電気抵抗を1として、一般的なタイヤとシリカ配合ゴムを比較すると、タイヤの電気抵抗は10の6乗で、シリカ配合ゴムは10の16乗。圧倒的にシリカ配合ゴムは電気抵抗が高く、電気を通しにくい。つまり、シリカが多く配合されたゴムを使ったタイヤは、静電気を地面に放出できないのだ。
それでは冒頭の「クルマの静電気を路面に放出できない」問題が起こってしまう。どうやって対処しているかというと、トレッドにアース(導電スリット)を設けて路面と接地。静電気を地面に放出しているのだ。タイヤを輪切りにすると見えるこのアース部のゴムは、シリカが配合されておらず、導電性に優れた部分となる。こういった対処は、各タイヤメーカーでほぼ同じとのこと。
〈文=ドライバーWeb編集部 取材協力:横浜ゴム〉
ドライバーWeb編集部
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