2024/03/27 新車 PR

完熟のフォレスターで贅沢と特別感を味わう|スバル フォレスター試乗インプレッション|

フォレスター STIスポーツ

2018年の登場からはや5年。年次改良を重ね各部をブラッシュアップしてきたスバルのミドルサイズSUV 、フォレスターはすでに熟成の域に達した。今回スポーティな走りと質感を磨き上げた最上級グレード、STIスポーツで、秋の色深まる日光に向かった。

初出/driver 2024年1月号(2023年11月20日発売)



安心と上質に包まれて

そうだ日光、行こう。芳醇な赤ワインを思わせるブラック&ボルドーでしつらえた、フォレスターSTIスポーツのインテリアを眺めながら悦に入っていると、ふと思い浮かんだのが冒頭のキャッチコピー。風合いのいいナッパレザーシートの背もたれと縁まわり、インパネ加飾パネルにもボルドーのアクセントが添えられ、走りと質感にこだわったSTIスポーツの特別感を演出する。

ボルドーでもうひとつ連想するのが、紅に染まる山々。もう11月なのに気温が25℃以上の夏日があったりして、異常な暑さだった盛夏を過ぎても秋が深まった実感は薄いが、紅葉前線は着実に北から南へと移っているようだ。2018年にデビューして以降、年次改良を重ねて熟成極まった感のあるフォレスターの魅力を再確認するべく、フラッグシップのSTIスポーツとともに秋色に染まるワインディングを目指した。

なぜ日光なのか。フォレスターの生まれ故郷の群馬に近いから……というのはこじつけだが、「いろは坂」を筆頭に、華厳の滝、奥日光の中禅寺湖と紅葉の名所がめじろ押し。世界文化遺産「日光の社寺」として登録され、平日でもインバウンド(訪日外国人旅行)でごった返しているところに紅葉見物客も加われば渋滞は必至なので、深夜に自宅を発った。

できれば日の出前に現地に着いて、紅葉を照らすご来光を拝みたい。大型トラックの車列に囲まれながら夜更けの東北自動車道をフォレスターSTIスポーツで走って実感したのは、SGP(スバルグローバルプラットフォーム)とシンメトリカルAWDがもたらす抜群の直進安定性と、安全運転を支えるアイサイトに「見守られている」という安心感。

東北道の岩槻ICから佐野藤岡IC付近までの最高速度規制は120km/hだが、夜間工事による車線減少にともない50km/hの速度規制区間が点在する。こうした神経を使う状況でアイサイトのツーリングアシストが車線と先行車をつねに認識しながらアクセルとブレーキ、ステアリング操作をアシストしてくれるので、ドライバーの負担と疲労が大幅に軽減される。基本性能の高さに加えて、1.8L直噴ターボエンジンのポテンシャルを引き出すリニアトロニックの緻密な制御により、合流や再加速、追い越しがスムーズに行える。

ちなみに、直近の一部改良では後退時ブレーキアシストの設定を変更。衝突の可能性がある場合、段階的に注意喚起し、回避操作が行われない場合はブレーキをかけて衝突回避をサポートする機能だが、後退時に障害物を検知した際の警報タイミングを早めることで、安全性能を高めた。



納得の専用チューニング

日光には夜明け前に着いたが、真っ暗闇で木々の色づき具合が分からない。「あそこなら大丈夫でしょう」というカメラマンの勘と経験を頼りに向かったのが、赤薙山(あかなぎさん)の斜面に広がる標高1200mの高原地帯、霧降高原。トレッキングやスノーシューが楽しめるキスゲ平園地駐車場はクルマで埋まっている。ひょっとしてお目当ては雲海?

紅葉とご来光に雲海まで。ちょっと欲張り過ぎではないかと、はやる気持ちを抑えながらワインディングを気持ちよく駆け抜ける。取材日の日の出時刻は午前6時。Aピラーの角に設けられた三角窓が象徴するように、死角が少なく見切りのいいコクピットまわりは「0次安全」にこだわるスバル車に共通する美点だが、コーナーを抜けるたびに茜(あかね)色に染まる山々の稜線(りょうせん)がフロントウインドー越しに現れ、雲海への期待が高まる。

野生のシカが出没するスリリングなワインディングを安心して流せるのは、フォレスターSTIスポーツの正確なハンドリングのおかげ。フロントサスに採用するSFRD(周波数応答式ダンパー)は、高周波/低周波どちらの振動も吸収できるようにシリンダー内部に2つの油圧経路を設けて、街乗りでの快適性と大きな負荷がかかるワインディングや高速レーンチェンジでの操縦安定性を両立する。リヤダンパーにもSTI専用チューニングが施される。

スーパーGTやニュルブルクリンク24時間レースなど、モータースポーツで活躍するSTI(スバルテクニカインターナショナル)の知見が注がれたサスペンションセッティングもSTIスポーツの魅力。旋回中に外輪だけでなく内輪のグリップ力も積極的に引き出して4輪の接地を高めるという発想で、背の高いSUVながらロールを抑えたオンザレール感覚の走りを披露する。

紅葉真っ盛りのワインディングを抜けて、お立ち台に停めたフォレスターの先には、夜明けを告げる赤紫の空と、シルエットになった山塊を「離れ小島」のように浮かび上がらせる雲海が広がっていた。STIスポーツを象徴するボルドーのアクセントカラーのように染まる空の色と、熟成を重ね香りと味わいの深みが増した赤ワイン、そしてデビューから5年を経て完熟の域に達したフォレスターにイメージを重ねてみた。

爽快で心地よい、納得の走り

気持ちよさ◎の1.8L水平対向ターボ


振動が少なく滑らかなエンジンフィールが特徴な直噴ターボ(DIT) エンジン。低回転からも高いトルクを生み出し、合流や追い越しなどもストレスを感じずスムーズに行える。最新のリーン燃焼技術などにより、優れた環境性能も実現。

専用装備が足元を引き締める


STIスポーツはスーパーブラックハイラスター塗装が施された18インチアルミホイールを標準で装備。STIチューニングのダンパーも前後に装着し、見た目にも走りにも引き締まった印象。タイヤは225/55R18のファルケン製オールシーズンタイヤを装着する。

上質で質感高いインテリア



機能的にデザインされたインパネは使い勝手はもちろん、クオリティも妥協していない。最上級グレードのSTIスポーツはボルドーのアクセントを配し、特別感を演出。



シート素材には高級車にも使われるナッパレザーを使用。上質な装いを見せる。


●アイサイトや三角窓など、スバルの安全・安心への工夫が伝わってくる。2023年8月の改良で後退時ブレーキアシストの設定を変更し、障害物を検知した際の警報タイミングを従来より早め、安全性能をより高めた


【フォレスター STIスポーツ(4WD・8速CVT)主要諸元】 
■寸法・重量
全長:4640mm
全幅:1815mm
全高:1715mm
ホイールベース:2670mm 
トレッド:前1565mm/後1570mm 
最低地上高:220mm
車両重量:1570kg
■エンジン・性能
型式:CB18 
種類:水平対向4DOHC直噴ターボ 
総排気量:1795cc 
ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm
圧縮比:10.4
最高出力:130kW(177ps)/5200~5600rpm 
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600~3600rpm 
使用燃料・タンク容量:レギュラー・63L
WLTCモード燃費:13.6km/L 
最小回転半径:5.4m
乗車定員:5人 
■諸装置
サスペンション:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン 
ブレーキ:前後Vディスク 
タイヤ:225/55R18 
価格:374万円

〈文=湯目由明 写真=山内潤也〉

ドライバーWeb編集部

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