2024/06/28 旧車

130馬力のマツダ ファミリア 3ドアHB・GTとライバルのスポーティ度は? [driver 1989年4-20号より]

●ファミリア 3ドア HB・GT

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。前回に続き1989年4-20号の「マツダ ファミリア 3ドアHB・GT vs ライバル5車 」を振り返る。

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

無鉛プレミアムガソリン仕様となって、ファミリアの1600ツインカム・ユニットは130馬力にパワーアップした。このエンジンを積む“GT”のクラスには、NAツインカムのライバル車がひしめいている。スポーティ度が高いのはどれか? 「ファミリアGT vs 5メーカーの代表選手」で、各レポーターがチェック。

■レスポンスは? 吹けは?
エンジンフィーリング 

「パワー競争の波に乗ることだけがすべてではない」。ファミリア3ドアHB・GTを走らせたときに、クルマが、こう語りかけているような気がした。

なにしろ、吹き上がりがスムーズ。エンジンをスタートさせ、アクセルペダルを軽くあおった瞬間に、その予感がある。フリクションをほとんど感じさせずに、“フォーン”という快音を響かせながら回る。タコメーターのなかで、針が駆け上る勢いもやたらと速い。もちろん、変にボディを身震いさせたりはしない。

実際の加速感も、じつに気持ちがいい。レッドゾーンが始まる7200回転で作動するレブリミッターがなければ、どこまでも回り続けそうに高回転で伸びる。吹き上がり自体が鋭く、1、2速でフル加速すると、一気に7000回転オーバーを極める。



エンジン音も、加速感と同様に重重しさがない。軽く歯切れのいいサウンドを聞かせてくれる。また、メインベアリング・サポートプレートの採用や、シリンダーブロックに効果的なリブを配することで、パワートレーン全体の剛性を上げ、こもり音や振動を低減させている。ガサつきやビビリ音のたぐいも、ほとんど気にならなかった。

ファミリアは、従来型以上にフィーリング面を重視していることがよくわかる。だが、今回は絶対的な速さも期待できる。スペックを追求しすぎて荒っぽいエンジンにならない範囲で、性能を向上させている。最高出力130㎰/7000rpm、最大トルク14.0㎏/5500rpmというスペックは、ライバルと比べてもけっして見劣りはしない。


●ステアリングホイール、ダッシュボードなど、インテリア各部に丸みをもたせ、質感がアップ。レッドゾーンは、旧型より200回転高い7200回転からの設定

しかも、EGI、電子進角の採用や無鉛プレミアムガソリンへの対応によって、10.0という高圧縮比を実現。余裕を持ってこのスペックを達成しているはずだ。

ただし、パワーの上昇があまりにもストレートなので、高回転域で加速感に弾みがつくような、ドラマチックな過渡特性は得られない。ぜいたくな望みだが、このあたりに、もうひと味の演出が欲しいところだ。

逆に、VICS(可変吸気システム)の採用などにより、低中回転域で申し分のない実用性が確保されている。分厚いトルク感が伝わってくるほどではないが、低速時の柔軟性は抜群。



市街地でダラダラとしたクルマの流れに合わせて走らせる場合も、4速のまま30〜40㎞/hの速度調整を容易にこなしてしまう。エンジン回転数にして1000回転そこそこなのだが、シフト操作をサボるズボラな運転にも耐えられるエンジンだ。

ドライバーWeb編集部

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