2023/10/27 ニュース

【キッザニア×マツダ】子どもが「砂型鋳造」を本格体験できる、こだわりまくりの現場を見た【ジャパンモビリティショー2023】

ジャパンモビリティショー2023のマツダブースは、コンパクトスポーツのコンセプトカー「ICONIC SP(アイコニック エスピー)」を初出展。ほかにも改良最新型のロードスターやコンパクトオープンスポーツのアイコン的存在の初代ロードスターの展示などスポーツモデルで走り好きの心をつかむ。
 
さらに2/3サイズのロードスターでオープンカーの爽快感を疑似体験できる子ども向けのコンテンツを用意。小さいロードスターの作り込みはハンパなく、マツダのこだわりを存分に感じられるもの。
 
そのこだわりは人気の子ども向け職業体感型施設「キッザニア」とのコラボレーションとなる「Out of KidZania」でも存分に発揮されているのだ。

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【画像】楽しすぎる!? 砂型鋳造体験を実体験

マツダがOut of KidZaniaで用意した職業体験コンテンツはなんと砂型鋳造体験。エンジンブロックなどの製造工程において、一般的に使われる金属製の型(金型)に代えて、砂を押し固めて型にしたものが砂型(鋳型)である。砂型は成型品を取り出すために粉々に砕かれてしまうから再使用ができない。非効率にも感じられる工法ではあるが、金型よりも複雑な形が成型できることからマツダはこの方式を多く採用する。

ちなみにマツダ車のボディカラー「ジルコンサンドメタリック」は、この砂型に用いる砂(ジルコニウム)から着想を得たもので、さらさらのジルコンサンドが生む陰影をイメージしたものだ。
 
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マツダが採用する技術の解説として時折登場する砂型鋳造工法だが、それを実際に体験できるのが、今回マツダが用意したコンテンツ。“砂型鋳造職人の仕事”を体験できる、なんともマニアックな職業体験である。
 
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就学児向けコンテンツで、参加するには公式サイトからの予約が必要(有料)となる。


ここで行われる職業体験を実際にやってみた。(ネタバレ注意)
 
工場を模したブース内には8つの作業台が設けられており、ここで指導者の指示で砂型を製作していく。
 
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まずはこれから作る製品の型(オス型)が収まる枠内に、砂を詰めていく。砂は2回に分けて詰めるのだが、それぞれで軽く押し固めながら作業する。少し湿った感触の砂をペタペタと、粘土遊びをしているようで楽しい。
 
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次の工程はさらに砂を押し固める作業。オス型にしっかりと砂を密着させることできれいな形に仕上がる。
 
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押し固めた砂を枠ごと持ち上げてオス型から離して隣にある平らな台に移動させる。これで砂型の完成。
 
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意外とあっさり作業ができたのは大人だからというだけではなさそう。その理由はどうやら作業台にありそうだ。じつはこれ、このコンテンツのために実際に工場で働く人が作ったワンオフ品。金属製のごつい作業台はわかりやすく、効率的に作業できるように配置されている。その下にある引き出しには、使う順番に番号が振られたアイテムが整然と並べられるなど工夫が凝らされているのだ。
 
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さて、次はいよいよ成型工程だ。熱せられてトロトロに溶けた金属を砂型の湯口に流し込んで成形(鋳物に)する。この作業は危険なので、職人(金属職人)に預ける。

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今回のコンテンツで流し込む金属はスズ。230℃で熔解(アルミだと650℃)するので扱いやすいのが理由だ。これを鍋で290℃に熱し液体になったスズをお玉ですくって湯口に流し込む。数十秒で固まるという。
 
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これを次の鋳物の取り出し工程へと運ぶ。まだ熱いので、取り出しも職人(ばらし職人)に任せる。
 
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取り出された鋳物には、余分な湯口などが付いているのでこれをカット。テコの原理を利用したカッターは比較的軽い力で扱えるのだが、これもマツダの工作部のお手製!

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カットされメダル状になった鋳物を作業台に運び、周囲のバリをヤスリで取り除いたらキラリと輝くメダルにボールチェーンを取り付けて完成となる。
 
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このコンテンツで子どもたちの作業を見守り指導する人は現場で働く本物の職人たちである。マツダは以前からファンとの交流を図るイベントなどを開催する際には、社員から有志を募ってイベントを取り仕切っていたりする。それらはマツダユーザーなどと直につながり、交流を深めることで、ユーザーがマツダとの絆をさらに深めるきっかけとなったり、その逆にユーザーの熱い思いなどに触れることで社員のやる気や気づきが得られたりと、ユーザーと働く現場がつながる場を大切にしている。
 
今回のコンテンツでも、言わば手弁当的な活動を通して子どもたちと本物の職人(社員)との交流によって生まれる、職業体験による子どもたちの笑顔や、未来のクルマ好きを育てるきっかけを作っているのかもしれない。そんな一面を見られるOut of KidZaniaのマツダブースは、参加できない大人でも一見の価値ありなのだ。
 
〈文と写真=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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