2023/09/21 旧車

「不必要な人は買わないでください」な日産車!初代プレーリーの限定車とは【80年代の限定車・特別仕様車研究 旧車雑誌オールドタイマーより】

全国限定300台の日産プレーリー

業界唯一の?サビ取り旧車雑誌「オールドタイマー」の過去記事からおもしろネタを厳選して再掲載!



◇◇◇下記、当時原文ママ(2019年4月号)◇◇◇

プレーリー ノルディカ・バージョンとは?

文/環田昌大

さて今回は1987年9月に発売した日産プレーリー2000 4WD JW-L「ノルディカ・バージョン」である。ざっと初代プレーリーについて解説しよう。

このワゴン型ミニバンは1982(昭和57)年8月に登場。当時世界戦略車という位置づけであったT11型スタンザ/オースター/バイオレットリベルタ(1年で廃止されリベルタビラになる)がベース。当時のRV(レクリエーショナル・ヴィークル)ブームを牽引した1台だ。1985年1月にマイナーチェンジをして1988年9月にフルモデルチェンジをするまでの6年間という、この時代にしては比較的長いモデルサイクルであった。

スタイリングも独特でワゴンでありながらミニバン的に背が高い。左右ともBピラーがなくリヤドアはスライドタイプという、今の感覚で言えばボディ剛性も気になるモデルであった。その結果、2代目ではブルーバードをベースにして少し余裕を持たせ、さらに車体も強化されてBピラーも備わるものとなった。ボディ剛性アップしたものの、解放感はなくなってしまったが。

そんな初代プレーリーに設定された特別仕様が今回紹介する「ノルディカ・バージョン」。ノルディカとはイタリアのスキー用品メーカー。特にブーツが有名でこのカタログの表紙にも「NORDICAはブーツである」と書かれている。このクルマはその日本法人の日本ノルディカと日産自動車とのタイアップにより誕生した…とカタログにもちゃんと記載がある。

この特別仕様車が登場した1987年、世はまさに第二次スキーブームで猫も杓子もスキーウエアではしゃいでいた幸福な時代だ。そんなバブル期を象徴するモデルではあるものの、カタログを見るとなかなかいい。プレーリーはこの1年後、2世代目にフルモデルチェンジをするから、いわばモデル末期前のお買い得車だったのかもしれない。

装備を外観から紹介すると、
◎専用ブラック/グレーツートンカラー
◎専用ストライプ&バックドアガラスプリント
◎エアダムスカート一体型フルカラードバンパー
◎4WD専用アルミホイール
◎185/70SR14オールシーズンタイヤ
◎イエローハロゲンヘッドランプ
◎電動リモコン式ドアミラー
◎パワーステアリング
◎販売店装着の大型ルーフキャリアとシビエフォグランプ

室内装備は、
◎AM/FMラジオ
◎専用シート地&ドアトリム
◎ハイタッチピロー(セカンドシート)がベース(2000JW-L)にプラスして装備

今では当たり前のリモコンドアミラーやパワステもこの頃は特別装備の売りのひとアイテムだった。

300台限定モデルカタログの背表紙には「不必要な人は買わないでください。7人乗れて4WD、しかもノルディカ」というフレーズが書かれている。現代の冷静な? 目線で読めば「スキーブームに乗れてないヒトは関係ないね」といった切り捨てたマーケティングを感じなくもない。いや、「スキーのために仲間とワイワイしながら雪山に行く人、これ買ってね!」というあの時代のリッチで軽妙なノリを懐かしく羨ましく思うべきか。今やこんな企画のクルマは絶対にあり得ない。


●全国限定300台のプレーリー・2000 4WD JWL「ノルディカ・バージョン」。カタログタイトルの車名は「PRAIRIE NORDICA 4WD」だ。家族サービス専用車的なプレーリーに「カッコよさ」を付加し、ブラック&グレーも専用カラー。若者たちは買ってくれたのだろうか? エンジンはCA20(2L4気筒OHC)、ミッションはフロア5速またはOD付きロックアップAT。


●「NORDICAはブーツである」、「PRAIRIEはクルマである」、「それが、いったいどうしたというのだ?」。ややもすると意味不明なキャッチコピーから時代の余裕を感じる。


●裏表紙。ブラック塗装で引き締まるバックスタイル。リヤルーフバイザーはディーラーオプション。このカタログはコピーライティングに力を入れていたらしく、ここに「不必要なヒトは、買わないでください。7人乗れて4WD、しかもノルディカ」とある。

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ドライバーWeb編集部

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