2023/07/01 コラム

トヨタ、新型C-HRは「日本に導入せず」!! その理由とは

斬新な2トーンカラーにも注目

2016年12月に販売を開始したコンパクトSUV、C-HR。アグレッシブな見た目と爽快な走りで「SUV販売台数ナンバー1」(2018年)を獲得したこともある人気モデルだった。

しかし、2019年にRAV4が復活、同年ライズの登場、さらに2020年にはヤリスクロス、2021年にはカローラクロスが追加されるなどトヨタのSUVラインアップが充実。それを機にC-HRの販売台数は落ち込んでいた。

■登録台数の推移(ガソリン/HEV)※トヨタ調べ
2016年 2400台/2250台
2017年 20620台/96680台
2018年 15510台/61240台
2019年 12180台/43490台
2020年 7370台/26300台
2021年 3170台/14930台
2022年 2210台/9600台

そして2023年3月、トヨタは公式ホームページにて「2023年7月下旬でC-HRの生産を終了する」とアナウンス。併せて、「長い間たくさんのお客様にご愛顧いただきました。誠にありがとうございました」と、ラインアップから外れるニュアンス。

一方海外では、新型の登場を予告。2023年6月26日、欧州トヨタはついに新型C-HRを世界初公開、7年ぶりのフルモデルチェンジとなった。

【画像】いきなりGRスポーツも!「新型C-HR」

その新型C-HRは、プリウスにも採用されるなどトヨタ世界戦略車に共通する新デザイン「ハンマーヘッド」をモチーフにしたフロントフェイスを採用。よりアグレッシブなエクステリアに生まれ変わった。プロポーションは初代C-HRと同じくクーペルックでじつにスタイリッシュ。

また、トヨタ初採用となる「フラッシュドアハンドル」もトピック。ホイールは最大20インチを履き、コンセプトカーがそのまま市販車になったかのようなインパクトがある。

ボディサイズは、全長4360mm×全幅1830mm×全高1558mm、ホイールベースは2640mm(海外仕様値)。現行モデルより全長は短く、全幅は広がった。

新型C-HRのパワートレーンは3種類。1.8L&2LのHEVに加え、2LのPHEVも用意。プリウスと同じ構成となっている。プリウスの進化を考えれば、新型C-HRの走りにも相当期待できる。

早速、日本への導入についてトヨタ広報部に問い合わせると…「導入しない」ことがわかった。

その理由に関して同広報部では、「お客様のニーズを総合的に勘案しラインアップを検討しているため、2車ともこの決定に至りました」とコメント。

「2車」とは、今回のC-HRとカムリ。カムリについてもC-HR同様に生産終了を発表しており、いずれも日本国内のライアップから外れることになる。

※カムリは2023年12月下旬で生産を打ち切る予定

カムリの日本取り扱い終了については、やはりセダン離れが大きな理由だろう。1980年に2代目カリーナセダンの兄弟車として、スポーティなセリカの名前を冠して「セリカ カムリ」として登場。1982年にはFFモデルに発展し、以後FFミディアムセダンの座を担ってきたが、昨今はラージクラスに拡大。国内では現行10代目を持って日本から姿を消す。

新型C-HRを「日本に導入しない」という決断は、わからなくもない。ヤリスクロスよりも大きく、カローラクロスよりも小さいその立ち位置で、さらに現行モデルよりもスペシャルティ感が増したようにも思える。となるとプリウスと”被り気味”にもなる。

しかしあらためて新型C-HRを見ると、じつにスタイリッシュで小粋な雰囲気。ただ、導入直後は爆発的に売れても、長い目で見ればトヨタの強力SUVラインアップのなかで徐々に存在感を失い…それは現行モデルと同じ流れだ。

また、長く続くアウトドアブームのなかで、「カッコいいけど室内や荷室が狭くて」という現行モデルと同じ印象を持たれる可能性もある。

以上が、「お客様のニーズを総合的に勘案し」というトヨタ広報部のコメントに含まれているのではないかと想像できる。

ただ気になるのは現行モデルのユーザーたちの反応だ。街なかで見るC-HRの多くは内外装ともにカスタムされている印象が強く、それだけC-HRに対する愛の強いユーザーが多い気がしている。そんなユーザーが次に乗り替えるクルマにどれを選ぶか?

コンパクトでスタイリッシュなSUVといえば、間もなく日本でも正式発表になるであろうレクサスLBXだろうか? C-HRユーザーを抱えるトヨタ販売店としては、それは避けたいだろう。

一斉を風靡したコンパクトSUV、C-HR。彼の地で進化を遂げ、RAV4のようにまた日本にやってくるだろうか…? いずれにせよ、新型C-HRは海外専売車となる。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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