2024/07/01 旧車

往年のライトウエイト・スポーツらしさを再現したマツダ MX-5 ミアータ[driver 1989年3-20号より]

●マツダ MX-5 ミアータ

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。今回は1989年3-20号の「マツダ MX-5 ミアータ」を振り返る。

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

1960年代に一世をふうびした英国製ライトウエイト・スポーツは、俊敏な運動性能を低価格で実現したオープンカー。そのテイストを、今、MX-5が再現!

■こだわりのピュアスポーツ

現代のスポーツカーは、速さと快適性を手に入れる代償として、大きく、重く、そして高価になってしまった。

しかし、最近になって1950〜60年代のブリテッシュ・ライトウエイト・スポーツを懐かしむ声が高まっている。それは、速く豪華になった現代のスポーツカーでは満たされない人々が、確実に存在しているからに違いない。

シカゴ自動車ショーでベールを脱いだマツダMX-5ミアータは、まさに、次第にグランツーリスモ化しつつある現行スポーツカーに対するアンチテーゼ。単なる速さではなく、クルマを操る楽しさを追求したピュアスポーツカーだ。

オープン2シーターのコンパクトボディ、FRの駆動方式、NA(自然吸気)DOHC……など、このMX-5には、マツダ・エンジニアリングのスポーツカーに対するこだわりが十二分に表現されている。

■爽快なオープンエア感覚

全長3948㎜、全幅1676㎜、全高1224㎜、ホイールベース2266㎜のサイズを持つMX-5のボディは、コークボトル調のウエストラインに象徴されるように滑らかな曲線とボリューム感のある面による構成。ライトウエイト・スポーツらしい、躍動的でキュートなスタイリングは、60年代のスポーツカーイメージを現代流にアレンジしたものといえそうだ。



だ円形のレンズカバーを持つ、ユニークなデザインのリヤコンビネーションランプ、フロントバンパー下方のだ円形の大型エアスクープなどは、丸みのあるMX-5のスタイリングを強調するポイント。そして、ワンフィンガータイプのメッキ・ドアハンドルや、7スポークタイプのアルミホイール(オプション)が、クラシカルなムードを演出している。

MX-5は、現代のスポーツカーとしてはウインドーが立ち気味。これは、CD値(オープン時0.44、クローズド時0.38)というハードウエアよりも、むしろオープンエアモータリング時の爽快感を重視しているためと思われる。

例えば、フロントウインドーが目の前に迫っている印象のあるRX-7カブリオレに対し、MX-5のコックピットはより開放感にあふれているはず。もちろん、“風を感じる”楽しさも、MX-5のほうが上だろう。



シート後方にスマートに収納されるソフトトップは、手動式の折り畳み幌。ただし、手動式といっても、運転席からでも開閉操作が行えるように工夫されているという。

さらに、装着すればクローズドボディに近いシール性と耐候性が得られるという、デタッチャブル・ハードトップがオプションパーツとして用意される。材質は、RX-7カブリオレのルーフパネルにも使用されているSMC(シート・モールディング・コンパウンド)。リヤウインドーにはガラスを採用し、重量は約20㎏。軽々とはいかないだろうが、脱着は比較的簡単に行えるという。

このハードトップを装着すれば、MX-5は丸みのあるルーフラインを持つクーペへと変身。つまり、メルセデス・ベンツSLのように、オープン、ソフトトップ、クーペの3つの姿を、状況や気分によって使い分けられるというわけだ。



ドライバーWeb編集部

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