2018/01/16 コラム

まもなく半世紀 歴代モデル “試乗記” で見る スバル4WD「進化の軌跡」3

driver archive SPECIAL数ある自動車メーカーのなかでも “四駆” に強いこだわりを持っているのがスバル。その歴史は半世紀近くにさかのぼり、いまも水平対向エンジンと並ぶ同社のコア・テクノロジーである。林道から市街地、そしてサーキットまで。その進化の過程を、本誌試乗記で振り返ってみたい。 まとめ:編集部

1979 LEONE Swing Back 1800 4WD第3回は、1979年(昭和54)5月に登場した2代目 “The New LEONE” の、同年10月に追加された「スイングバック」。4WDには1.8L車とともに、副変速機の「デュアルレンジ」ミッションが追加された。*:当時の試乗記はすべて本誌の記事を抜粋、一部再構成したものです
「サンドバギーさながら」 1979(昭和54)年11月20日号「レオーネ・スイングバックはセダンに比べ全長が短い。当然それだけセダンより軽くなっているわけで、その性能に期待が持てた。1600GLSはEA71型1595ccシングルキャブエンジンを搭載しているが、セダンGLSに比べ25kg軽量である。もちろんパワー、トルクは変わらない。そんなスイングバック1600GLSの走りは、予想どおり軽快なものであった。87馬力の1600GLSですら軽快に走るのだから、ツインキャブを装備し100馬力を発生する1600SRXの性能は容易に想像できるだろう。最近まれにみる……という表現がぴったりである。そして1800 4WDは、4輪駆動メカニズムによって重量が増加しているのにもかかわらず、SRXと同じ100馬力の1800エンジンがそれをカバーしている。オンロードではそれほどさえない4WDだが、舞台が不整地になると、まさに本領を発揮する。本格ジープなみにHi、Lo 2段の駆動ギヤを選べるデュアルレンジが採用されたから、その偉力はなおさらだ。この4輪駆動走行中に操作できるので、4速ミッションとあわせて8速としての使いかたも可能だ。セレクトレバーはサイドブレーキ左側にあり、旧セダン4WDより操作性がぐっと向上している。2輪駆動のまま海岸の砂地に乗り入れてみる。直進して間もなく柔らかい砂にもぐりスタック。そこで4輪駆動のHiにスイッチしてみたが、ややもぐりすぎたためか、砂が抵抗になって脱出できない。そこでさらにLoへスイッチすると、いとも簡単に脱出できた。デュアルレンジの効果絶大である。走り出してしまえばもう心配はない。すぐにHiにシフトし、ミッションも2速へシフトアップして、サンドバギーよろしく走りまわった。勾配がきつくなりパワーが不足になったらHiからLoに入れてやるとまた加速する。本格ジープにくらべれば車重が軽いので、4輪駆動にセレクトしているかぎり、今回走った砂地ではスタックの不安はなかった。これから雪のシーズンにはいるが、タイミングよく登場した4WDに人気が集まりそうだ」 (編集部)

●初代に比べ、ぐっと現代的になったインパネまわり。「1800 4WD」と「1600 SRX」のシート地はカジュアルなチェック柄

●「DUAL RANGE」
1800 4WDには「デュアルレンジ(副変速機)」を採用。セレクトレバーはシフトレバー手前に配置。手前に1段上げるとHi、もう1段上げるとLoに切り換わる。Hiレンジに対するLoレンジの登坂性能は約1.5倍を誇った。なお、先代レオーネ4WDには「4輪駆動走行時は80km/h以内に」というコーションプレートがあったが、2代目からは取り払われている。
●「1600SRX」
“スイングバック” シリーズきってのスポーティグレードが、この「1600SRX」。100馬力/12.5kgmを発揮するツインキャブ仕様のエンジンに175/70HR13ラジアルタイヤ、4輪ディスクブレーキ&前後スタビライザーも備わる。ちなみに「SRX」の名は、初代インプレッサの2L NAモデル(HX-20Sの後継)で一度復活した。
■スイングバック1800 4WD(4速MT) 全長:3980㎜ 全幅:1620㎜ 全高:1415㎜ 車両重量:930㎏ 水平対向4気筒OHV 1781cc 100馬力/15.0kgm(ともにグロス値)
イメージカラーのオレンジやハッチバックスタイルをはじめ、どことなく「XV」に似てる?……と思ったのは筆者だけだろうか。

初の4WD AT車誕生

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