2022/01/26 ニュース

日野が超低床・ウォークスルーの小型BEVトラックを初披露。4輪同サイズのタイヤを履く理由とは

●EVならではの使い勝手を追求



■4輪のタイヤが同じサイズになった理由

取材時に気になったのは、4輪ともに同サイズのタイヤを履いている点。小型トラックの場合、かつては4輪同サイズのタイヤを履いていたが、いすゞが1974年にエルフフラットローで小径ダブルタイヤを履いて以来、後輪の小径化が進んだ。荷台を低くして、荷室容量を稼ぐにはうってつけの方法である。小径タイヤを履かなかった点について、日野自動車 BR EV開発推進室 主管の加部賢志氏に伺った。



「このクルマは車両総重量が小さいクルマですので、後輪はシングルタイヤで十分にまかなえます。一般的なトラックでも1トン積みですと、シングルタイヤもけっこうありますので、今回もこれで満足できます。後輪に小径タイヤを履く場合は、径が小さくなっていることもあり、その場合は太さを太くしている(シングルタイヤの場合)と思うのですが、今回は前後が同径ということで、同じ太さのものを使っています。やはり、交換性ですとか、アフターパーツを考慮すると前後違うサイズのタイヤというのは、ユーザーさんも扱いづらいので、同じタイヤを揃えたほうが準備しやすいというところもあります。

一方でタイヤサイズをいかに小さくするかというところは、やはりユーザーさんから言われている課題でもありました。タイヤサイズの大小によって室内の出っ張り(タイヤハウス)が変わってきます。タイヤハウスが小さいほうが当然、荷物が多く積めます。その観点から、4輪同サイズのタイヤするか、後輪に小径の幅が太いタイヤを履くかを検討しました。



その結果、小径のワイドタイヤを履くと、全幅方向での室内の出っ張りが大きくなり、通路の幅が狭くなってしまいます。前後同サイズのタイヤの場合、高さ方向では小径タイヤより荷室の出っ張りが大きくなるものの、全幅方向では荷室をいじめません。やはりユーザーさんからは通路の幅をしっかりとりたいというご意見が多かったので、その考えが今回の設計に一番生きていると思います。ユーザーさんは台車を乗り降りさせるケースが多いので、通路幅をいかに広くとるかというところが、一番大変でしたね」



加部氏は「日野デュトロ Z EV」の市販について、「まだ開発が終わりきっていませんが、2022年初夏の発売を目指して、一生懸命進めているところですね。今回の実証実験の成果に関しては、フィードバックが発売に間に合う部分と間に合わない部分があると思います。当然、開発は進んでおりまして、できるところは極力早く盛り込みたいと思っています。実証実験がすべて終わってから、まとめて盛り込むのではなくて、実証実験をやっているなかで、見つかったものは適宜、拾い上げていく。そんなふうにやっていきたいと思います」と語っている。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部

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