2020/12/03 ニュース

トヨタの車種リストラ…プレミオ/アリオンが生産終了。ご先祖はどんなクルマ?

アリオンのご先祖は「足のいいやつ」で知られたスポーティなファミリーカー「カリーナ」


ポルテ/スペイド、プリウスαに続き、プレミオ/アリオンが2021年3月で生産終了すると発表された。プレミオ/アリオンは、2001年に誕生した5ナンバーセダン。ちなみにアリオンの先祖にあたるのは、1970年12月1日に発売(発表は10月23日)されたトヨタ・カリーナである。

カリーナ誕生のきっかけは、トヨタ店販売系列から新型ファミリーカーを開発してほしいという要望だった。カローラ店には人気沸騰中のカローラがあり、トヨペット店にはコロナがあった。しかし、トヨタ店には高級車のクラウンしかない。この後のモータリゼーションの拡大に備えて、どうしても小型乗用車が必要だったというわけである。

1970年にラインオフしたときの看板には「祝 カリーナ/セリカ1号車ラインオフ」と書かれていた。イメージリーダーはスペシャルティカーのセリカだが、量販のメインモデルはあくまでカリーナ。両車種の専用工場として月産3万台の生産能力を持つ堤工場を作ってしまった。

カリーナに与えたキャラクターは、カローラよりも上で豪華、コロナよりもやや下でスポーティなイメージを狙ったものだった。個性的なクルマへの要望を先読みしてトヨタのラインアップの充実を図ったのである。OHVのT系エンジン(1.4LのT型/1.6Lの2T型、高性能な2T-B型)に、上級向けには5速フロアMTを設定。5速MTは国産ではトヨタ2000GTを皮切りに採用され、70年の段階ではまだスカイラインGT-Rなど一部のモデルにしか設定がなかった。いわばスポーツカーの象徴的な装備だったのである。

それだけでも十分に画期的だったが、トヨタはさらなる隠し球を用意していた。カリーナ発売の5ヵ月後、71年4月に設定された真打ち「1600GT」である。セリカGTに搭載していたDOHCの2T-Gエンジンをカリーナに移植したのだ。

しかし、カリーナは当初販売面では苦戦を強いられた。マニアックな車種だっただけに真の価値が広く一般には伝わらなかったのかもしれない。トヨタ店では拡販の努力を続けた。CMでは「足のいいやつ」というキャッチフレーズを使って性能をアピール。72年12月にはハードトップ(1600GTも設定)と4ドアセダンに1600GTを追加。73年12月には2Lを追加、シリーズ一番のホットモデルとしてハードトップ2000GT(DOHCの18R-G)を用意した。

宇宙時代にふさわしい車名



カリーナ(CARINA)は、クラウンやカローラと同じく「C」のイニシャルを意識して命名。その由来はラテン語で「竜骨」という意味が語源の星座「竜骨座」のこと。竜骨は船舶用語で船首から船尾までつながる船の背骨にあたる部分を指す。

ギリシャ神話に登場するアルゴー遠征隊の探検船にちなんで、かつて巨大なアルゴー船座という星座が存在した。その後18世紀には、4分割されてそのうちの一つが竜骨座となった。この竜骨座のα星のカノープスは、シリウスに次ぐ宇宙第2の輝星。1969年7月に月面着陸したアポロ11号が月に向かう際に、軌道修正の目印として使った星として知られている。まさに宇宙時代のパイロットスターである。

また、竜骨座は早春の南の夜空の地平線際に輝くことから、日本を含む東洋では縁起のよい星として知られている。世界でも逸話があり、未来や神秘、飛翔するといった意味合いがあるという。

カリーナという車名は、このように「竜骨座」が持つさまざまなエピソードを踏まえ、“冒険とロマンに満ちた宇宙時代のクルマ”という意味合いを表現。兄弟車として誕生したセリカ(スペイン語で「天上の」)とともに宇宙をテーマにしているのである。また、その美しい名前のとおり、未来へ飛翔する高性能な、日本のオーナーカーの新しい基点となるべきクルマであることをアピールしている。


●初代カリーナ(写真は1970年式)は72年のマイナーチェンジ以降、「足のいいやつ」のキャッチフレーズを採用。新鮮でダイナミックなイメージでアピールした


●セリカと基本メカニズムを共有するスポーティなファミリーカーとしてカリーナが誕生。リヤは軍服などの肩章「エポーレット」をイメージした縦置きリヤコンビネーションランプが印象的

〈文=ドライバーWeb編集部〉

ドライバーWeb編集部