2020/10/14 新車

【独占】新型フェアレディZの開発にNISMOワークスドライバーの松田次生が携わっていた!? 新生Zへの期待を語った!

●新型フェアレディZ プロトタイプ


松田次生、Zを語る


2020年10月11日、都内のアンテナショップ「三重テラス」で行われたトークイベントの会場で、ゲスト出演したNISMOのワークスドライバー松田次生選手にインタビューができた。国内最高峰のレーススーパーGTのGT500クラスで、長年日産ワークスのエースドライバーを務める松田選手にどうしても聞きたかったのだ。先日発表された「新型フェアレディZ プロトタイプ」についてを。

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松田選手は「GT-Rマニア」としては有名だが、じつはGT-Rだけではなくクルマ全体が好きな生粋のカーガイ。今回のインタビュー中もいろいろ話が脱線してほかのクルマの話で盛り上がるほど、クルマに対する知識はものすごい。例えば、「初代NSXが今では買えないような金額にまで高騰して、昔買っておけばよかった」とか、「EK9のシビック タイプRが、この前700万円で売りに出ててビックリしちゃった」だとか。会話の内容が完全にクルマオタクだった(笑)。

松田次生
●松田次生選手

そんな松田選手だが、フェアレディZに対しても人一倍思いは強い。以前はZ33型のニスモ380RSを所有していたときもあった、Zファンの1人でもある。発表された新型Zの印象をうかがうと、「スッキリしたデザインでボクは好きですね」と話し始めてくれた。

「最近のクルマってゴテゴテしたデザインが多いじゃないですか。ボク、あまりそういうのが好きではなくて。だから、この新型Zはかなり好きなデザインです。シンプルでカッコいい。過去のZのモチーフをいろいろ使っているようですが、そういうところも含めて今のこの時代によくこのデザインで出してくれたと、初めて見たときは嬉しい気持ちになりましたね」

フェアレディZ
●フェアレディZ プロトタイプ

松田選手はデザインに関して相当気に入っているようだ。「インテリアも伝統の3連メーターを残しつつ、フルディスプレイメーターなどの新技術は惜しみなく使っている。Zらしさを忘れずにしっかり最新型に進化していますよね」

フェアレディZ
●フェアレディZ プロトタイプ

新型フェアレディZ プロトタイプ
●ダッシュボード中央の3連メーターは、伝統の装備

じつはあの部分、開発に関わっていました


そして、ここで思わぬカミングアウトを聞くことができた。「今回、シフトインジケーターをメーターの上部につけてシフトタイミングを表示しているんですが、あれ、ボクがアドバイスしているんですよ」なんと! 発表会やプレスリリースで出てきた“レーシングドライバーの意見を取り入れた”って、松田選手のことだったとは。

「タコメーターの7000回転を頂点の12時の位置に持ってきたこと、そして針がちょうど7000回転を指すタイミングに合わせて、シフトインジケーターも赤く光るところなんかも、アドバイスさせてもらいました。あと、スピード表示をデジタルにしてタコメーターの右上隣に持ってきているところもそうですね。とにかく運転中に視線移動が少なく、見やすさにこだわっています」。レーシングドライバーならではの視点で作られて、しかも運転者の気分を盛り上げてくれる。ほかのレーサーではなく、Zファンでありカーガイの松田選手だから生まれたアイデアかもしれない。

フェアレディZ
●タコメーターの上に見える赤い表示が、シフトインジケーター

松田選手はパワートレーンについても貴重な意見を残してくれた。「おそらくですけど、もう最後になるんじゃないかと思うんですよ。純粋なガソリンエンジンのV6ツインターボのFRと、6速マニュアル(トランスミッション)の組み合わせは。トヨタさんのスープラにもMTは設定がないですからね。この先は、たとえGT-Rだとしてもハイブリッドなどの電動パワーユニットを載せなくてはならなくなるでしょうし。この存在は貴重になりますよ、きっと。買っておいたほうがイイですよ。将来プレミアつくかも(笑)」

フェアレディZ
●国産車では貴重な存在になってしまった6速MT

そして話は気になるお値段のことに。「(スカイラインの)400Rのエンジンを積むとは噂されていますけど、400馬力のクルマってほかのメーカーは値段が結構高いんですよ。どんなに安くても700万円以上、大体1000万円クラスというのがほとんどかと思うのですけど。それを考えると、たぶんこの新型Zはそこまで高くならないと思うんですよ。あくまで予想ですけど、500万円台で発売されたとしてもかなりお買い得。そんな金額では400馬力のスポーツカーは買えませんから」。松田選手、かなりいい線の金額予想なのでは?

スカイライン400R
●スカイライン 400R
400馬力
●搭載がウワサされている、VR30DDTT型エンジン


レーシングマシンとしての素質は?


新型Zで気になる点もあるようだ。「ホイールベースを、Z33くらいのロングホイールベースにしてもらえると嬉しいです。現行のZ34になって100mmホイールベースを短くしているのですが、あの長さだと挙動がピーキーになりすぎちゃう。素人も玄人も楽しめるクルマにするなら、ホイールベースは長くして欲しいですね」。見た感じそんなにショートホイールベースには見えなかったが、スペックはまだ未発表(ウワサではZ34とホイールベースは同じらしい)。

将来のGT500マシン候補についても話してくれた。「今のGT-Rはキャビンが大きくて、空力的にライバルより不利なんです。スープラもNSXもキャビンの部分が小さい。あれは空力的にスゴくアドバンテージがあるんですが、このZはそれらに近い小ささです。これでGT500のマシンを作ったら、レースはもっとおもしろくなるかもしれませんね」。そして、GT300クラスのことも話題に。「GT3とか4とか、レーシングマシンのベースとしてもいいと思います。GT3を作れば、GT300と500にZが走るようになる。レースシーンがZによってさらに盛り上がるかもしれません」

GT500
●2020年仕様のGT-R GT500
GT300
●GT300クラスでも、GT-R GT3が活躍している

と、これまで松田選手はいろいろ話してくれたが、やはり新型Zへの期待は高まるばかりのようだ。「これだけカッコよくて、しかも内田社長は一般の方々でも買える値段にすると言っていましたよね。これは期待しちゃいますよ。往年のZファンも、若い新しいZファンもみんなが買える。そうすれば、チューニングメーカーもエアロや足まわりのパーツなどを積極的に作れる。みんなでZとのカーライフを楽しめる。そうなったら嬉しいですよね。まだいつ発売になるかわからないですけど、本当に楽しみです。Zでクルマを楽しむ新たなムーブメントが起きればいいですよね!」

レース業界やチューニング業界からも注目を浴び、4度の全日本チャンピオンも期待を込める新型Z。発売日の発表が待ち遠しい!


<写真=山内潤也/日産>


ドライバーWeb編集部・青山

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