2020/06/04 コラム

なぜ「787」はもてはやされる? マツダ&ボーイング&JR九州…偶然一致した偉大な乗り物たち


■787の名前を持つ乗り物 その2

最先端の技術で世界中の空を旅する「ボーイング787」


●翼端までスラリと伸びた翼が美しいボーイング787

2つ目の787は国内外の空の旅を支える「ボーイング787」(以下「B787」)です。現在世界各国69もの航空会社に導入されてる世界的に見てもとてもポピュラーな旅客機です。日本でもANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)で国内線、国際線ともに運用されていますのでモデル名を意識することなく多くの人が利用しています。

さて、その名前ですが、我々の日常にも馴染み深い民間航空機の部門の他、軍用機や衛星システム、有人宇宙船などを手掛けるボーイングによると、同社のエンジニアリング部署がネーミングをする際には、その製品を数字でカテゴリー分けしているそうです。300~400番台は航空機、500番台はターボエンジン、600はロケットやミサイル、そして700番台は旅客機に割り当てているそうです。最初の700番台として登場したのは1957年(10月にロールアウト)の「ボーイング707」です。そのネーミングに関しては当時のマーケティング部が「モデル700」は聞いた感じが今ひとつよろしくないということで、響きがよく覚えやすい名前として「モデル707」に変更したのが現在も続く「7●7」のはじまりだそうです。ちなみに前者は「セブンハンドレッド」、正式な名称となった後者は「セブンオーセブン」と読みます。

日本国内だけ見ても「B737」「B767」「B777」そして「B787」が現在でも日本の航空会社で運用されています。ジャンボジェットの名で親しまれた大型機「B747」は日本の航空会社での運用は2014年に終えたものの世界的に見ればまだまだ現役で日本へ就航する便もありますので今でも成田をはじめとする主要な国際空港で見ることができます。日本では導入されなかった「B757」も海外ではもちろん現役です。

そんなボーイングの最新鋭機「B787」はじつはとても日本と縁の深い機種です。まず日本のANAが最初に発注をした会社(ローンチカスタマー)として開発当初から関わっており、その意向が随所に反映されています。ANAの国際線仕様機の全てのトイレに温水洗浄機能付きの便座を採用しているのはとても日本的な特徴のひとつかもしれません。


●従来の航空機の約1.3倍の面積を持つ窓はボタン操作によって透明度を5段階の調整できる電気シェードを装備しています

また機体の約50%(重量比)に炭素繊維複合材を使用し剛性の高い機体になっています。そのため客室内の気圧を今までの旅客機より地上に近づけることができ、機内で耳が痛くなりにくくなっているそうです。同時に湿度も高くなり肌のカサカサ感も低減するなど様々な進化により快適性が大きく高まっています。

それまでは飛行機の乗り心地など気にしたことのなかった筆者ですら初めて「B787」に搭乗した時には「アレなんだか快適だな」とその違いにすぐ気づいたくらいです。ちなみに炭素繊維複合材は日本の東レのものです。また、機体の主翼部分は三菱重工業、中央翼部分の製造はスバル、車輪収納部や前部胴体を川崎重工、など日本企業が多数参加しており製造分担率も日本企業が35%と、製造面から見ても日本に馴染みの深いモデルです。


●左右の主翼の製造は三菱重工、左右の主翼を支える中央翼はスバル、車輪収納部や前部胴体を川崎重工を受け持つなどに日本企業の製造分担率が35%と高いボーイング787

ドライバーWeb編集部

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