2018/06/04 ニュース

アテンザの大幅改良はモデルチェンジ並み! フラッグシップモデルとしての存在感を獲得

マツダは2018年5月24日、フラッグシップモデル「ATENZA(アテンザ)」セダンおよびワゴンのマイナーチェンジを実施し、同日より全国のマツダ販売店で予約受け付けを開始した。発売は6月21日。価格は2.2LディーゼルターボのFFが329万4000〜395万2800円。4WDは23万7600円高(6速ATと6速MTを設定)。2.5Lガソリンが354万2400円。2Lガソリンが282万9600〜295万9200円。ガソリンモデルはFFおよび6速ATのみの設定。アテンザの改良については、2017年12月に開催されたロサンゼルスショーでセダン、2018年3月のジュネーブショーでワゴンを発表するなど、国内版の発表はやっとか……、という節もある。が、かなり大幅に手を加えているのは、かの地でのお披露目の際に感じてもらえたのではないか。アテンザは2012年11月に現行モデルが登場したから、すでに5年が経過している。第6世代と呼ばれる新世代商品群においては、CX-5がフルモデルチェンジを実施し、2巡目に突入している。フラッグシップモデルであるアテンザも、それにふさわしい最新・最良の「走る歓び」を開発の主眼に、デザインや走行性能、安全性能などのブラッシュアップを図った形だ。 

フラッグシップならではの上質さを昇華

まずはデザインや質感について。改良にあたり、「Mature elegance」をコンセプトにエクステリアとインテリアともに磨きを磨き上げ、大人の落ち着きを感じさせるデザインに昇華させた。エクステリアについては、CX-5が取り入れた水平基調のデザインに改められている。おもな変更点は、フロントグリルおよびバンパーのデザイン変更で立体感や骨格の強さ、重心の低さ、そして広がり感を強調。ヘッドライトは薄くワイドな造形とライン発光により精悍な表情を作り出している。セダンはトランクリッドを意匠変更。ガーニッシュとともに水平基調の造形とすることで穏やかさと落ち着きを表現。リヤバンパーも変更し、従来バンパー下部をブラックに塗り分けていたものをやめて、横方向に広がりを持たせた。これらにより、躍動的でありながらも風格を感じさせる美しさを表現する。
●セダン 25S Lパッケージ

●セダン 25S Lパッケージ

●ワゴン XD Lパッケージ

●ヘッドライトはハイ/ローあわせて片側20個(従来型は4個)のLEDを使用し、緻密な配光制御を行うALH(アダプティブLEDヘッドライト)を採用

●グリルは横桟からメッシュタイプへ改められた。縦長ブロック部に段差を設け、光の当たり方による反射面積を変えており、奥行き感を演出
 また、19インチと17インチのアルミホイールは大径感と立体感を強調するデザインを採用している。
 

ほとんどのパーツを変更したインテリア

インテリアに関しては、インパネとドアトリムのデザインを大幅に変更し、連続した造形とすることで、左右方向のワイド感を強調。

●見た目の質感は細部までこだわりを見せる。エアコンやコマンダーのダイヤルスイッチなどは見た目の統一感を図るとともに、正確な操作ができるよう表面形状を変更した

●今回の改良では見た目だけでなく、五感で感じる不自然さをふっしゅくするため、目に見えるところだけでなく、触れて感じる部位の改良も施される。例えば、センターのニーパッド部の剛性を上げ、ヒザで感じるしっかり感を向上させている。
特に注目したいのは、Lパッケージに設定される本杢パネルや、量産車で初採用となる「ウルトラスエード ヌー」による独特な風合い。ブラウン内装は赤みを抜いた茶色が特徴。歴史のある寺院の柱からインスピレーションを受けたそれは、インパネアッパー部のブラックから本杢パネル、スウェード部と一体感のある落ち着きのなかに、それぞれの素材がかもしだす質感を目と触感で楽しめる絶妙なバランスを見せる。

対するホワイト内装は、本杢パネルから上とホワイトのスウェード部のコントラストでワイド感がさらに強調されるデザインとしている。最上級グレードは本物素材でフラッグシップモデルならではの世界観を表現しているのだ。
 シートはデザインを変更。前席は座面やシートバックに対し、太もものサポート量や骨盤支持性、ヒップの収まりなどを向上させ、フィット感や着座姿勢を維持させず、不快な振動を感じさせない形状とした。後席も快適な着座姿勢をサポートするとともに、前席同様フィット性・支持性を向上させロングドライブでも疲れにくいシート形状としている。
 また、フロントシートはベンチレーションシステムをマツダで初採用。空調温度とも同期し、シートと体の接触部の不快な熱や湿度を取り除いて快適なドライブをサポートする。
 

”次世代”の技術を先取り採用する走り

次に走行性能について。「Effortless Driving(エフォートレス・ドライビング)」をコンセプトに、日常の運転シーンにおいて、クルマの性能をドライバーの意図通りに発揮させることで、心に余裕と安心、そしてドライブを楽しめる状態にすることを目指したという。具体的には、前後のサスペンションシステムの構造を一新。次世代車両構造技術が取り入れられ、よりリニアなクルマの挙動と高い質感の乗り心地を実現。あわせてタイヤも新開発。衝撃を吸収するダンパーとしての構造を持たせている。また、ステアリングギヤマウントをリジッド化しステアリングの剛性感を向上。
次世代車両構造技術の考え方に基づき、カウルメンバークロスに板厚を上げるなど、環状構造のつながりを改善。さらに、タイヤ音の車室内への透過量も低減させ、ボディ剛性を高めるとともに、乗り心地と静粛性も向上させた。
 エンジンのラインアップは従来同様の3機種をラインアップしながら、すべてを進化。ガソリンエンジンの「SKYACTIV-G2.0」と「SKYACTIV-G2.5」は、ピストン形状やマルチインジェクターの見直しなどでリニア感とスムーズさを高めた。さらに「SKYACTIV-G2.5」には「気筒休止」を採用。定速走行時などの低負荷領域で4気筒のうち2気筒を休止させ、日常域での扱いやすさと実用燃費を向上させた。アテンザの北米モデルに搭載された2.5L・直噴ガソリンターボエンジン「SKYACTIV-G2.5T」が設定されなかったの残念。クリーンディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D2.2」は、「急速多段燃焼」技術などの採用により、最高出力を129kW(175ps)から140kW(190ps)に、最大トルクを420Nm(42.8kgm)から450Nm(45.9kgm)に向上。より人間の感覚に合った出力フィールと上質な走りを手に入れた。
●SKYACTIV-D2.2

安全性能も大幅進化

安全性能も抜かりない。先進安全技術「i-ACTIVSENSE」においては、夜間における歩行者認識精度が向上した「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキサポート(アドバンスSCBS)*夜間歩行者検知機能付き」を採用するほか、「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」はLEDブロックを20分割に細分化。ハイビームの照射性能と配光性能を進化。よりち密な照射範囲のコントロールを実現している。マツダのクルーズコントロール「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」が、停車状態からでも追従走行が可能となる全車速追従式となったのも見逃せない。停止時にブレーキから足を離しても停止状態を維持するオートホールド機能も採用した。メーターの中央には、高精細7インチTFT液晶を採用し、さまざまな情報が表示されるようになった。また、アダプティブ・ドライビング・ディスプレイの表示方式が従来のコンバイナ照射から新型CX-5から採用されているフロントウインドー照射タイプに変更された。

 インパネセンターに鎮座するナビや車両情報などを表示するディスプレイが、7インチから8インチに大型化され、視認性を高めている。このほか、前後左右4つのカメラの映像を合成してセンターディスプレイに表示する「360°ビューモニター」も新たに設定した。
 最新の技術をいち早く取り入れるため、それらがすでに採用されているモデルが存在することから、新しさを感じないこともある最近のマツダの改良。フラッグシップモデルアテンザにしてもしかり。しかし、改良の幅を見てみると、モデルチェンジ並みに大胆かつ大きく進化していることがわかるはず。価格が全体的に上昇しているのが気になるが、目に見えてわかる質感の向上や、走りにこだわる進化ポイントなど、ユーザーを満足させる要素は十分に持ち合わせているだろう。 アテンザセダンの詳しい情報はこちらアテンザワゴンの詳しい情報はこちら 
マツダhttp://www.mazda.co.jp

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